1978年のF1チャンピオン、マリオ・アンドレッティが、ダニエル・リカルド(トロロッソ)を2014年のドライバーに選んだレッドブルの決断を支持した。
レッドブルは、今年でF1を引退するマーク・ウェバーの後任がリカルドになると発表したが、ドイツの新聞『Die Welt(ディー・ヴェルト)』や『Bild(ビルト)』は、チャンピオン候補のキミ・ライコネン(ロータス)のようなドライバーではなく、実績のない「無名」のリカルドを選んだことに批判的だ。
しかし、アンドレッティは『Die Welt(ディー・ヴェルト)』に対し、次のように語った。「この決定は非常によく理解できる」
「トロロッソという育成チームを持っており、すでにセバスチャン・ベッテル(レッドブル)を生み出しているんだ」
「こういう状況のためでなければ、何のために育成チームを持っているんだい?」
「若いレーシングドライバーたちにとって、有名でなくても道はあるという素晴らしいメッセージだ」とアンドレッティは話した。
また、「無名」というリカルドのレッテルに異を唱えるのが、リカルドがHRTからF1デビューした当時のチーム代表コリン・コレスだ。
「彼は、非常に才能あるドライバーだ」
「ドライビングスタイルは、若いころのフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)やアイルトン・セナと似ている」とコレスは話す。
しかし、たとえリカルドが期待に応えられるとしても、2014年の開幕戦F1オーストラリアGPからいきなり、というのは考えにくい。
レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコはリカルドについて、「3戦から5戦」は猶予を与え、そのころまでには「少なくともコンストラクターズ選手権で十分なポイント」を獲得するだろうと話している。
マルコは、リカルドとの契約は「最低でも3年」と明かしているが、イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』は、シーズン途中での初期評価が契約に含まれているのではないかと見ている。
リカルドが確実に当てにできることがある。それは報酬の増加だ。
オーストラリアの経済誌『BRW』の長者番付担当アンドリュー・ヒースコートは、リカルドの現報酬60万ドル(約6,000万円)が、レッドブル移籍によって「約200万ドル(約2億円)」に増えるだろうとしている。
ウェバーの後任候補に挙がっていたライコネンと比べれば、それでもはるかに安いが、ライコネンではなくリカルドが選ばれたのは、別の理由かもしれない。
「非常に重要な検討事項が、来年の新ルールだ」とマルコはオーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』で語っている。
「そのため、多くの技術的な仕事やシミュレーター作業が2人のドライバーに求められる。この点はダニエルに有利だった」とマルコは話し、仕事に対する意識の高さでは、ライコネンよりリカルドのほうが評価されたことを示唆した。
リカルドは、2014年型マシンのシート合わせでお尻のサイズが大きすぎたと伝えられていたが、レッドブルの最高技術責任者エイドリアン・ニューイは、問題ないと話している。
「実はこれで少し楽になった」とニューイは語る。「彼はマークほど背が高くないからね」