4月9日に50回目の誕生日を迎えたばかりのジャック・ビルヌーブが、7度F1王者となったミハエル・シューマッハとは友人関係にはなれなかったと語った。
1997年にウィリアムズでF1チャンピオンとなったビルヌーブだが、その年のF1最終戦ヨーロッパGP(スペイン/ヘレス・サーキット)を迎えた時点ではシューマッハがビルヌーブを1ポイントリードしていた。
そのヨーロッパGP予選では1000分の1秒まで同タイムという激戦を演じたビルヌーブとシューマッハだが、先にタイムを刻んでいたビルヌーブがポールポジションを獲得。だが、決勝ではスタートでシューマッハが先行し、ビルヌーブがそれを追いかける展開となる。
しかし、ペースに勝るビルヌーブがシューマッハをオーバーテイクしようとした際に両者が接触。ダメージを負ったシューマッハはここでリタイアとなり、手負いのマシンでなんとか3位フィニッシュしたビルヌーブがタイトルを手にすることとなった。
レース後、故意にビルヌーブにぶつかったと判定されたシューマッハはそのシーズンのポイントをすべて剥奪されるという厳しいペナルティを受けている。
イタリアの『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』からその件について質問を受けたビルヌーブは、もうそのときのことを「怒ってはいない」と答え、次のように付け加えている。
「ミハエルはそうやって僕が勝つのを助けてくれたわけだから、怒るわけにはいかないよ」
しかし、ビルヌーブは決してシューマッハと友情を築くことはなかったと次のように続けた。
「常に絶対に仲良くなることができないヤツがいる学校みたいなものなんだ」
「オオカミ同士の戦いだったし、彼は倒すのが最も難しいオオカミだったよ」
「ミハエルに勝つのはフェラーリに勝つことより重要だったんだ」
そう語ったビルヌーブは次のように付け加えている。
「あの年に倒さなくてはならなかったのはフェラーリというチームではなく、ミハエルだったんだ。彼は自分を中心にチームを作っていたからね」
一方、2013年末に起きたスキー事故で脳に大きな損傷を負ってしまったシューマッハだが、妻のコリーナが最近、スイスのレマン湖のほとりにある自宅を売りに出したと伝えられている。
ドイツの『Bunte(ブンテ)』誌が報じたところによれば、シューマッハのための医療設備なども整えられていると伝えられていた約2万平方メートルとも言われる物件が5870万ユーロ(約76億5000万円)で売りに出されているという。
シューマッハが現在どのような健康状態にあるのかは今も全くと言っていいほど伝えられていない。だが、2018年以降、シューマッハ一家はスペインのマヨルカ島にある別荘に移り住んでおり、そこでシューマッハのリハビリテーションが続けられているようだ。