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「グラスは4分の3まで満たされた」とフェラーリ

2012年06月13日(水)10:56 am

10日(日)に行われたカナダGP決勝で、フェラーリのフェルナンド・アロンソはあとゴールまで7周というところまで先頭を走りながら、5位に終わってしまっている。フェラーリでは全員がひどくがっかりしているのではないかと考えられそうだが、事実はそうではないようだ。

カナダGP決勝後に、マラネロの本部へ送り返すためにガレージで機材の梱包作業をしていたメカニックたちや、ホスピタリティーエリアにいたフェラーリのチームメンバーたちにはそうした沈んだ雰囲気は感じられなかった。そして、翌朝のフェラーリ本部のオフィスでも同様だった。

チームでもかなりの経験を持つひとりのエンジニアは次のように話している。

「いいかい、もし今日僕たちが勝てるだけのクルマを持っていて、それで最後まで戦い通そうとしていなかったとしたら、それは申し訳なく思うだろうね」

「だけど、僕たちは勝利を得るために全力を尽くした。チームもドライバーもね。フェラーリに長くいる人間がそう言うんだから間違いないよ。(失望していないのは)当然のことさ」

フェラーリチーム代表のステファノ・ドメニカリも間違いなくカナダGPでは光明を見出したようだ。ドメニカリはフェラーリ公式サイト(www.ferrarif1.com)で次のように述べている。

「われわれはパフォーマンスに関して重要な前進を果たすことができた。それはこれまでの数か月にわたるハードワークがここへきて実を結び始めているということを示すものだ。マラネロにいる全ての人たちが心と魂を注ぎ込んでくれたことに感謝したい」

フェラーリF1の公式サイトでは、「グラスは4分の3まで満たされた」というタイトルで記事を掲載しており、完全な強さを取り戻すまで、もうあとわずかであるとアピールしている。

しかし、フェラーリにまだ課題が残されているのも事実だ。ドメニカリは次のように続けている。

「これを続けてゆかなくてはならないし、さらなる改良部品がバレンシア(ヨーロッパGP/6月24日決勝)やシルバーストン(イギリスGP/7月8日決勝)にも持ち込まれることになるだろう。今シーズンのカギとなるのは、クルマの改良を強力に推し進めることと同時に、どのようにタイヤの特性を管理すればよいのかを理解することだ」

カナダGPの表彰台では2台のクルマが目を引いていた。ロメ・グロジャンのロータスと、セルジオ・ペレスのザウバーだ。彼らもアロンソと同じ1回ピットストップ戦略をとっていた。つまり、フェラーリとしても勝算があるとしてその戦略を採用していたことは間違いない。

だが、同じ戦略をとりながらも、結果的にアロンソはレース終盤にグロジャンやペレスに追い抜きを許すこととなってしまった。この違いが生じた原因はタイヤの性能低下によるものだった。そして、その性能低下は必ずしも気温などの状況によってのみ起こったのではなく、どちらかといえばタイヤの管理の仕方によって差が生じたものだった。

カナダGPの終盤のタイムを見てみると、レースが残り15周を切ったあたりからアロンソとセバスチャン・ベッテル(レッドブル)のパフォーマンスが明らかにグロジャンよりも劣り始めている。しかし、その時点でもう一度ピットインしても、そのときの順位を守ることはできなかっただろう。

モナコGPの後では、もしリードを奪おうとするのであればアロンソはルイス・ハミルトン(マクラーレン)を追い抜こうとするよりも、もっと長くコースにとどまっているべきだったと言われたものだが、今回も現実的に考えれば、ピットインしておいたほうが良かったのかもしれない。しかし後からそう言うのはたやすいことだ。

だが、今回のカナダGP後には多くのフェラーリファンからフェイスブックやツイッター、そしてファックスやEメールを通じてアロンソのとった戦略を擁護する意見が多く届けられているのも事実だ。

ファンが満足した本当の理由は、今回のカナダGPではフェラーリに強さが戻ってきたためだろう。日曜日の決勝ではドライバーはもちろん、ピットストップでも素晴らしい働きがみられていた。

フェリペ・マッサにしても、6周目に犯したミスによって大きく順位を落とすことになったが、ミスの内容には違いがある。壁にぶつけてしまったドライバーと、そのままコースに残って走り続けることができたドライバーの違いは大きい。それさえなければ、マッサは予選でも決勝でも速さを示しており、クルマに対する自信を取り戻し、疑いようのない才能を示すことができるようになっていた。

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