トヨタが、プラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)などの電気利用車両と住宅との間で電力を相互供給するシステムV2Hを開発。2010年4月に始まった『豊田市低炭素社会システム実証プロジェクト』一環として、実証住宅の約10世帯を対象に、プリウスPHVを使って2012年末からV2Hシステムの供与を開始する。
V2Hシステムは、車両への充電はもとより、車両に蓄えた電力を住宅へ供給することもできるため、双方向の電力供給が可能となる。PHVに搭載した交流・直流変換器(AC100Vインバーター)により車両から交流電力(AC)を供給するとともに、車両・充電スタンド・住宅の間のデータ通信により電力の流れを制御。これにより、家庭内・地域内の太陽光発電を利用して作られた低炭素の電力(グリーン電力)や低コストの夜間系統電力を、住宅に設置した充電スタンドを経由して車両に充電・備蓄しておき、電力需要のピーク時間帯などに車両に蓄えた電力を交流電力で家庭内に供給する。家庭内に設置されたエネルギーマネジメントシステム(HEMS)が電力の流れを自動制御し、最適なものにしていく。
また、災害時などには車両の蓄電池を非常用電源として利用し、手動切り替えで車両から充電スタンドを介して家庭内の照明やコンセントへ交流電力を供給することができる。PHV1台で、一般家庭の日常使用電力の約4日分がまかなえるという。さらにV2Hシステムとは別に、今回の取り組みで使用するPHVには、災害時の避難所などにおける利用を想定し、車両から家電製品に電力を直接供給することができる機器を装備する。