F1の公式タイヤサプライヤーであるピレリは、2013年仕様タイヤに対する批判が高まったことを受けて、その設計に変更を加えることを発表した。だが、それは昨年3年連続でチャンピオンチームとなったレッドブルからの圧力によって決定したのではないと主張している。
12日(日)に行われたF1スペインGP後に起こったピレリタイヤに対する大きな批判を受け、ピレリは14日(火)に、2012年仕様タイヤの基本構造に戻すことも含め、来月のF1カナダGP(6月9日決勝)までに今シーズン用タイヤに変更を施すと発表した。
だが、ピレリのモータースポーツ責任者であるポール・ヘンベリーは、今回の変更決定以前には、そうした対応をとることはレッドブルに今季のタイトルを与えてしまうことにつながる可能性があるとの見解を述べていた。
ところが、そのヘンベリーも今では次のように語っている。
「タイヤに変更を加えることは、いくつかのチームを助けることになり、その他のチームにとっては不利益になるという心配があることは理解している。だが、今回はそうならないという確信がある」
「今回の変更は、レッドブルからの批判とは何も関係がない。間違いなく、メディアによる批判のほうがもっと手厳しいものだったよ」
だが、フェラーリやロータスなどは大きな不満の声をあげたことはなかった。なぜなら、彼らはピレリの2013年仕様タイヤをうまく扱うことができていたからだ。ヘンベリーもこのことは理解しているとし、フィンランドの『MTV3』に次のように語った。
「彼らは、空力よりもメカニカルな部分に重点を置いた開発を行っていた。だが、今回の変更を行うことで彼らが不利益を被ることになるとは考えていない」
「常にリスクはつきものだが、われわれとしてもそうなることを望んではいない。われわれはコンパウンドの選択に関しては、今後もかなり挑戦的に行うつもりだ」
さらに、ヘンベリーは次のように続けている。
「レッドブルがわれわれのもとへ来て公式に変更を要請したことなどないよ。そのことは理解をしておいてもらいたい」
「つまり、今回の変更によってレッドブルに有利になるとは限らないし、すぐにそういうふうに思い込むのは間違いだよ」
レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーも、このヘンベリーの意見に同意し、ピレリのタイヤ変更がカナダGP以降の状況を変化させるかどうかは「予測不能だ」とし、イギリスの『Express(エクスプレス)』紙に、「それがF1の難しいところだよ」と語った。
また、ホーナーは、今シーズンここまでに大きく広まったピレリに対する批判に言及しながら、ピレリがカナダGPに向けてタイヤの変更を行うのは「最終的にはピレリの利益」のためだとし、ドイツの『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』に次のように語っている。
「彼らは自分たちのイメージを守るために、何か手を打つしかなかったんだ」
しかし、レッドブルが以前からタイヤに不満をあらわにしていたのは事実。今回のタイヤ変更でレッドブルにとっては有利に働く可能性は高く、ドライバーズ、コンストラクターズの両選手権で4連覇を果たすかもしれない。