フェリペ・マッサ(フェラーリ)は、所属チームがフェラーリだったから救われた。
2012年シーズンでチャンピオン争いのライバルだったフェラーリのドライバーについて、レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーはそう考えている。
フェラーリは2012年シーズン後半にマッサとのドライバー契約を更新したが、もし自分ならマッサと契約を更新したかをたずねられたホーナーは「いいや、更新したとは思わない」と答えた。
2012年シーズンを振り返る公式F1本には、「もちろん、F1は厳しいビジネスで、結果がすべての世界なんだ」というホーナーのコメントが載っている。
「もう一台のクルマに乗っているドライバー(フェルナンド・アロンソ)の結果が、クルマの本来の実力だと考えるんだ」
さらにホーナーは、フェラーリがマッサの解雇を検討したことは間違いないと語った。
「ほかのドライバーを検討したのは間違いない。少なくとも、うちのチームのドライバーを1人、候補に考えたはずだ! だから、フェラーリがマッサの働きを不安視したのは確かだが、選択肢は限られていたんだ」
マッサが解雇されていた場合の後任には、ザウバーからマクラーレンに移籍するセルジオ・ペレスが候補に挙がっていたとホーナーは考えている。
「けれど、シーズンが残り3分の1というころになって、マッサは調子を取り戻した」
「そこでフェラーリは迷い始めたんだ。マラネロから発せられたメッセージがそれを物語っている。そしてあるとき気がついたんだね。手元にある選択肢(マッサ)が最良の選択だと」
毎年恒例となっているクリスマスパーティーの席上で、フェラーリのルカ・ディ・モンテゼモーロ会長は、2013年シーズンのマッサはシーズン中盤に調子を上げてくるだろうと冗談を言い、マッサに向けてこう語りかけた。
「2012年シーズンの序盤に、君はどこに行っていたんだい? なんにせよ、帰ってきてくれてなによりだよ」