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F1マレーシアGPの見どころ

2012年03月22日(木)15:01 pm

いよいよ開幕した2012年のF1。今年のF1は開幕から2週連続の開催となり、早くも第2戦マレーシアGPが行われる。

・開催サーキット
マレーシアGPが開催されるのは、マレーシアの首都クアラルンプールにあるセパン・インターナショナル・サーキット。開幕戦オーストラリアGPが行われたアルバート・パーク・サーキットとは異なり、低速から高速までさまざまなコーナーがそろっていることから、クルマ本来の実力が分かるサーキットとも言われる。そのため、今季の勢力図がより明確に見えてくることになる。

セパンは、追い抜きが比較的多いサーキットとしても知られている。最も追い抜きのチャンスが高いのは、最終コーナーのヘアピン。また、2つのヘアピンが続く1コーナーから2コーナーにかけても追い抜きのチャンスがある。そして、直角の右コーナーである4コーナーも追い抜きのチャンスになる。

セパンに持ち込まれるドライタイヤのコンパウンドは、最も硬いハードと、それより1段階軟らかいミディアム。高温のセパンに合わせ、耐久性に優れる硬めのタイヤが選択された。決勝では、雨用タイヤを使用しない限り、この両方を少なくとも1回ずつ使用しなければならない。ミディアムはタイヤ側面のロゴが白、ハードはロゴが銀になっているため、ロゴの色を見れば、どちらのタイヤを装着しているのか見分けられる。

・熱帯の暑さが与える影響は?
マレーシアは赤道に近いことから、暑さが大きな問題になる。開幕前に各チームがテストを行っていたのはスペイン。ヨーロッパの中では温暖な気候だが、熱帯の暑さは比べ物にならない。ドライバーが暑さと格闘するだけではなく、クルマも強烈な暑さにさらされるため、冷却系統などに問題が起こることも予想される。

その中で、最も大きな影響が出ると見られているのはタイヤ。タイヤサプライヤーのピレリは、路面温度が50℃に達すると予想しており、晴れた場合はタイヤへの負担が非常に大きくなる。また、今年のタイヤは全体的に昨年よりも軟らかくなっていることから、タイヤの性能低下によってピットストップの回数が増える可能性もある。ピレリは、スタート直後やタイヤ交換直後にうまくタイヤを労わることが、タイヤ戦略のカギになると予想している。

タイヤのほかにも、F1マシンにはエンジンやギアボックス、電子機器、油圧系統など、熱による影響を受けるパーツが多い。そのため、こういったパーツをうまく冷却することが重要になる。また、コックピット内の温度は50℃を超えることもあると言われており、ドライバーにとっては1年の中で最も体力的に厳しいコースとされる。

・注目チーム
開幕戦に優勝したマクラーレンは、やはり今回も強さを見せるだろう。これに対し、チャンピオンのレッドブルがどこまで速さを見せられるのか注目が集まっている。マレーシアでも、マクラーレンとレッドブルが優勝争いの最有力候補になる。

一方、開幕前から苦戦が予想されたフェラーリは、予想通り開幕戦の優勝争いに加われなかった。決勝でフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)が見せたペースは予想以上にいいものだったが、トップのマクラーレンやレッドブルに追いつくには、少なくとも数レース必要だとみられており、今回も優勝争いに加わるのは難しいだろう。

フェラーリとは対象に、健闘していたのがロータスとウィリアムズ。ロータスでは、ロメ・グロジャンが予選で3番手を獲得。決勝でグロジャンはスタートに失敗し、他車と接触したためリタイアになったが、予選でミスをして下位に沈んでいたチームメートのキミ・ライコネンが決勝で速さを見せた。ライコネンは、予選でミスさえしなければ、マレーシアGPの表彰台を狙えるはずだと自信を見せている。

近年は不振が続いていたウィリアムズでは、パストール・マルドナードが予選最終セッションのQ3まで進出。決勝でもマルドナードは、最終周までフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)と5番手を争った。最終的にマルドナードはクラッシュしてしまったが、アロンソを追い詰める速さを見せていたことから、マレーシアでもウィリアムズから目が離せない。

・小林可夢偉、ザウバーの動向は?
小林可夢偉が所属するザウバー勢は、可夢偉が6位、チームメートのセルジオ・ペレスが8位という好成績でオーストラリアGPを終え、チームランキングで3位につけている。これは、最終周に発生したマルドナードのクラッシュをきっかけに、可夢偉やペレスのいたグループが混乱したことによる影響もある。

しかし、マルドナードのクラッシュが発生する前から2台ともポイント圏内を走行していた。ペレスはうまくタイヤを温存してタイヤ交換を1回のみにする戦略を成功させており、可夢偉はスタート直後にリアウイングを損傷したものの、レース終盤は好調なロータスのライコネンを抑えきっていた。ペレスはクルマの競争力が高いと語り、可夢偉もマレーシアでポイントを獲得するチャンスはあると自信を見せていることから、マレーシアでもザウバー勢の活躍に期待できる。

・最終的にカギを握るのは?
クルマの速さは当然重要な要素になるが、それだけでは勝てないのがマレーシアGP。熱帯にあるマレーシアだけに、大雨が毎年話題になる。2009年には、レース中に豪雨が降り始めて中断となり、そのままレースが終了していたほどだ。しかも、マレーシアGPの予選と決勝が始まるのは現地時間の16時(日本時間17時)。ちょうどマレーシアで雨が降りやすい時間帯である。

マレーシアでは、雨が降り始めると急激に雨脚が強くなる。そのため、レース中に雨が降り始めた場合、雨用タイヤへの交換が1周遅れただけで取り返しのつかない後れを取ることになる。その一方、雨を警戒するあまりに雨用タイヤへの交換が早すぎた場合、水量の少ない路面で雨用タイヤがオーバーヒートし、タイヤを壊す結果になってしまう。

雨がやみ、路面が乾き始めたときにもタイヤ交換のタイミングを誤るだけで大きな差がつくため、マレーシアでは天候変化への対応が非常に重要な要素となり、これによって勝負が決まってしまう可能性もある。天候の変化を冷静に見極め、適切なタイヤを適切なタイミングで装着することが勝利へのカギになるだろう。

2012年F1第2戦マレーシアGPは、23日(金)現地時間10時(日本時間11時)に開幕。天候も気になる決勝は、25日(日)現地時間16時(日本時間17時)にスタートする。

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