F1の商業権を管理するFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)が、現在のF1公式タイヤサプライヤーであるピレリを支持する旨の声明を発表した。
前戦F1ベルギーGP(第11戦)において、ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)とセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)に同様のリアタイヤ破裂という問題が発生。F1関係者の中には、ピレリ製タイヤの品質や安全性に疑問を投げかける者も少なくなかった。
だが、今週末にモンツァでイタリアGPが開催されることを受け、バーニー・エクレストン率いるFOMが以下のような声明をF1公式サイト上に発表した。
「常に最重要課題である安全を考慮した制約の中で、F1はピレリに対し、パフォーマンスの限界を持つタイヤを供給してくれるよう働きかけている。それはタイヤの性能低下がF1レースの難しさや面白さを向上させるからだ。これを実践する上で、ピレリは、供給するタイヤのパフォーマンス限度に関して競技者に明確なガイダンスを提供している。競技者は、レースにおける作戦や戦略を定める際には、ピレリの専門家による助言に対し十分な注意を払わなくてはならない。もしそうしないのであれば、それに伴うリスクについては自分たちで責任を負うべきだ」
「2015年F1ベルギーGPで発生したタイヤに関する事件に関しては、いずれもピレリにその責任はなく、我々はそのことに大いに満足している」
「ピレリではそれぞれのクルマにレースを通じて使用できる耐久性を持つタイヤの供給も申し出ていた。我々は彼らにはそういうタイヤを製造する能力があることは分かっているものの、ピットストップのないレースは面白みが低下してしまうのだ」
「F1ファンのために面白みを提供してくれているピレリに感謝する」
現在のルールでは、F1では単独のタイヤメーカーをサプライヤーとして任命することになっており、現在2017年から2019年まで公式サプライヤーを務める企業を認定するための選定作業が進められている。そして、現サプライヤーのピレリと、F1復帰を目指すミシュランが指名を獲得すべく、現在戦いを繰り広げているという状況にある。
もともと、ピレリが性能低下が早く起こるタイヤを導入したのは、エクレストンからの要望を受けたものだと言われており、最終的なタイヤサプライヤー決定権を持つエクレストンも、次期に関してもピレリを推していると言われている。
一方で、18インチタイヤの導入などとともに、より本来の競技レベルが高まるようなタイヤを導入すべきだと主張するミシュランを支持する者も少なくなく、その中にはフランス出身の現FIA会長ジャン・トッドらも含まれていると言われている。
そして、ベルギーGPでのピレリタイヤ破裂事故を受け、ミシュランを支持する声のほうが強まるのではないかとも言われていた。
今回、FOMが異例とも言えるこうした声明を発表した背景には、タイヤサプライヤー選定というからみの中で、エクレストンなりの思惑があったのかもしれない。
【ピレリタイヤ事故関連の発表】
・【タイヤ破裂問題】エクレストン率いるFOM、ピレリタイヤ破裂に公式声明発表 その背景は?
・【タイヤ破裂問題】その原因は?ピレリ、モンツァでベッテルのタイヤ破裂調査結果を発表
【ピレリタイヤ事故で様々な意見】
・ピレリタイヤ破裂事故対応を支援するFIA、GPDAブルツ会長は「説明が不十分」
【ベッテルは激怒、ウェバーも擁護】
・ベッテルがピレリを批判した理由…タイヤだけが理由ではなかった
【金曜日にはロズベルグのタイヤが突然破裂】
【2017年の選定に影響か】
【関連ニュース】