マクラーレンのテクニカル・ディレクターだったパディ・ロウについて、マクラーレン側はロウが「超高給」の報酬につられて離脱の道を選んだと考えている。
「折に触れて、できることはすべてやった」そう明かすのは、マネジング・ディレクターのジョナサン・ニール。今週マクラーレンはティム・ゴスをロウの後任に据えることを認めたばかりだ。
ロウのマクラーレン離脱は「ガーデニング休暇」のためだと発表されていたが、「魅力的な給料が用意されている人は、1年か1年半あるいはもう少し長い間待つんだよ。それがこの業界のやり方というものだ」と、ニールは皮肉を交えて語っている。
ロウはメルセデスAMGに加入すると言われており、あるいはロス・ブラウンに代わってメルセデスAMGのチーム代表に就任するのではとまで言われている。
「ロウはナンバーワンについて考えるべきだ」そう話すのは、2010年以来マクラーレンでロウと苦楽を共にしたジェンソン・バトンだ。
しかし、バトンはロウの離脱に衝撃を受けたことは否定した。
「パディがいるから、とか、ルイス(ルイス・ハミルトン/メルセデスAMG)がいるからという理由でマクラーレンにきたわけじゃない」
「僕はマクラーレンだから移籍してきたんだ。実績も歴史もあって、そして、芯の強さがあるんだよ。いつも使う言葉だけどこれは事実でもあるんだ」
秘蔵っ子と言われたハミルトンがメルセデスAMGに移籍したうえに、技術部門の重鎮もチームを離れたのはチーム首脳陣の失策だとする声も多い。
これに対してニールは「現実はこうだよ。誰かが風呂敷をたたんで、もうここにはいたくない、給料も安いし、などと言ったら、たとえ契約があったとしてもこれ以上チームにいてほしいとは思わないだろう」と話している。
もしもロウのメルセデスAMG移籍、チーム代表就任が現実になれば、マクラーレンがブラウンを獲得する可能性はあるのだろうか。
かつてフェラーリで黄金時代をつくったブラウンについて「ロス個人は、この数年、目標に手が届かない時間を過ごしているね」と話したニールは、こう続けた。
「ロスはすばらしい人間だし、この業界でも尊敬を集めている。人の上に立つ素質があって、技術もよく知っている」
「けれど、それは(人と人の)化学反応のなせる技なんだよ」