アストンマーティンのチーム代表を務めるマイク・クラックが、フェルナンド・アロンソがシンガポールGPでネガティブな発言を行ったことを気にしてはいないと主張した。
■大きな波乱が起きたシンガポールGP
先週末にマリーナ・ベイ・ストリート・サーキットで行われた今季のF1第16戦シンガポールGPではレッドブルが突然不振に陥り、ついに連勝記録が途絶えてしまった。
だが、その一方で、アストンマーティンにも衝撃が走っていた。それは、2023年シーズンの開幕戦から第15戦イタリアGPまでの14レース全てでポイントを獲得していたフェルナンド・アロンソが今季初めてノーポイントでレースを終えてしまったためだ。
スペイン出身の42歳となるアロンソは、自分のアストンマーティンF1マシンは「運転できるものではない」と語り、シーズン中の開発ペースにおいて自分のチームがライバルたちに大きく遅れをとっていると示唆していた。
レッドブルがシンガポールで突然不振に陥ったのは、このレースからFIA(F1統括団体の国際自動車連盟)がF1マシンのボディワークのたわみに関する検査を強化したためではないかとの見方もある。だが、レッドブルはそれを否定している。
そして、アロンソも、自分たちの不振もそのことには何の関係もないと次のように語っている。
「僕たちは何も変えていないんだ。僕たちには何も変える必要がなかったからね」
「シンガポールがレッドブルにとってよくなかったのは確かだし、メルセデスが過去に選手権を支配していたときも同じことが起きていたよ。でも、僕たちのマシンには修正すべき点がたくさんあると思っている」
■ランキング4番手に後退したアロンソ
今季アルピーヌからアストンマーティンに移籍してきたアロンソはシーズン序盤には何度も表彰台に上る活躍を見せ、ドライバーズランキングもレッドブルのマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスに次ぐ3番手に位置していた。
だが、シンガポールGPをノーポイントで終えてしまったアロンソは、そのレースで3位となったルイス・ハミルトン(メルセデス)に逆転を許してランキング4番手に下がってしまった。
現時点におけるメルセデスとアストンマーティンの状況を考えれば、アロンソが再びハミルトンを逆転するのはかなり難しいかもしれない。それゆえ、アロンソの口から前向きな言葉が出ることを期待するのは、現時点では難しいかもしれない。
■浮き沈みがあるのは普通だし何も問題はないとクラック
だが、2022年からアストンマーティンをチーム代表として率いているルクセンブルク出身のクラックは、アロンソの心的状況を心配していないという。
「我々は彼には全力で取り組んで欲しいと思っている。だから何も問題はないよ」
『DAZN Espana(ダゾーン・エスパーニャ)』にそう語った51歳のクラックは、次のように続けた。
「我々には悪いレースも少しあった。だが、いいレースもいくつかあった」
「22レースのシーズンでは、そしてスポーツでは概して、浮き沈みがあるものだと私は思っている。それが普通なんだ」
「だから、我々は教訓を学び、前向きにとらえ、可能な限り早く前進しなければならない。しかし、確かに、もっといいだろうとは考えていたよ」
「それに、チームとしては、ドライバーが批判的であっても、彼が期待するこれまでのようなパフォーマンスがなかったとしても、我々はそれを受け入れなくてはならない。私はそれでいいと思う。アスリートがそういう反応をするのは普通のことだからね」
「だから何も問題はないよ」
■シンガポールで起きたことを理解することが必要
かつてはBMWのモータースポーツ責任者を務めていたクラックによると、シンガポールGPでのアロンソのF1マシンはサスペンションにダメージを負っていたのだという。
だが、クラックもチーム全体のパフォーマンスが不足していたのも確かだと認めている。
「シンガポールでの日々はチームにとって本当に厳しいものだったよ」
そう語ったクラックは、シンガポールの予選で大クラッシュを演じて決勝への出走を見合わせたランス・ストロールに言及しながら次のように続けた。
「我々は日曜日には1台になってしまったし、日本ではランスが戻ってくることを期待しているよ」
「これから、どこでもっとパフォーマンスを引き出すことができるかを理解する必要がある。結局のところ、シンガポールはパドック全体にとってちょっとした驚きだったと思う。なぜなら、我々は全く違う順位を目にしたからね」
「だから、我々が理解しなければならないのはそこだと私は思っている。もちろん、コースの再舗装もあったし、コーナーのレイアウトも違っていた。だから、その全てを理解しなければならないんだ」
そう語ったクラックは、微笑みを浮かべながら、次のように付け加えた。
「だが、頭を抱えている人たちは、我々のガレージの中だけでなく、ほかにもいると思うよ」
■ストロールは日本GP出走へ
なお、健康面への配慮からシンガポールGP決勝出走を見合わせていた24歳のカナダ人ドライバーであるストロールは、鈴鹿で行われる今週末の日本GP(24日決勝)には出走することをSNSで明らかにしている。