4度もF1世界選手権を制覇したこの腕を疑うとはと、セバスチャン・ベッテル(レッドブル)が怒っている。
4年連続F1王者のベッテル。とりわけ2013年後半の戦いぶりは圧巻だった。ところが年が明けてみると、競争力も信頼性も低下したマシンに手を焼き、チーム新加入のダニエル・リカルドに遅れを取るばかり。
特に、F1第6戦モナコGPはベッテルにとって悩みの多い週末だった。RB10がまともに走れるか、自信が持てなかったのだ。
独テレビ局『RTL』のウェブサイトは4日(水)、ベッテルのインタビューを掲載。その中で彼はこんなことを話している。「あのマシンでは、さんざんトラブルを経験している」
「だからリズムに乗るのが難しいんだ。従って自分のベストも出しづらい」
2014年シーズンで溜まった「イライラ」は、レースの合間にスポーツで発散しているとベッテルはいう。たとえば愛車をドライブしたり、最近ハマっている二輪車に乗ったり。
また今週、彼はドイツ『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』誌のインタビューにも応じている。不満が高じてレッドブルを辞めるのではといった憶測について彼は、「とんでもない」と一蹴する。
それと、ベッテルの真の実力は2014年が指し示しているといった指摘にも不満だ。最強のマシンがなければベッテルも「ただの人」などといわれたら、腹も立つだろう。
「思い起こしてみると、今年のレースでトラブルが出なかったのは一戦だけさ。それは第2戦マレーシアGPだ」と、『RTL』に話すベッテル。
「とにかく開き直るしかないよね。マシンがまともに動かなければ、世界屈指のドライバーといえども勝利は訪れない」
「いい例がマイケル(シューマッハ)だ」と、ベッテル。「メルセデスAMGでカムバックした当時はマシンの競争力が低くて、彼の運転レベルをもってしても手に負えなかったのを憶えている。恐らく以前のフェラーリとは比較にならなったんじゃないかな」
「ところが人々はこんなことをいった、”フェラーリで連戦連勝したのは、ただ彼がツイていただけだ”と。前にもいったが、ドライバーとしての実力は、ある時点で自分にも第三者にも証明済みさ」
ベッテルは4度のF1世界王者にふさわしくない、他に複数回チャンピオンを経験しているドライバーに及ばないといった批判にベッテルは、次のように応える。
「そうだね。今はそんな考えに平気で飛びつくのが当たり前の時代だ。思うに、何とか自分で折り合いをつけるしかないよ」
「とても軽い考えで話題にしたり、記事にしてしまう。まったく情けないよ。まるで幼稚園児の集まりだ。でも悲しいかな、それがF1の世界なんだ。逃げも隠れもしない人間だっているっていうのにさ」
ベッテルついては”F1の運転法を忘れてしまった”などという無礼な発言も耳にするが、本人はどう考えているのか。「それが今の世の中さ。軽々しくそんなことを口にして、舞台裏のことなど知りもしないくせに」
「むしろ、舞台裏なんか見ようともしない。話が盛り上がればそれでいい。人の困難に飛びついて、苦しんでいる姿を見たがるんだ」