イタリアのピレリが2013年F1タイヤの見直しを迫られている。
今季用のタイヤは、これまで開幕戦F1オーストラリアGPと第2戦F1マレーシアGPに供用されたが、減りが著しいことから、レッドブル、メルセデスAMGをはじめとする数チームはピレリに対策を求めている。
メルセデス・ベンツのモータースポーツ責任者であるトト・ヴォルフは、ドイツ『SID通信』に次のように語った。「まちがいなくコンパウンド(構成物)が変更となる兆しはあるね」
「(新型タイヤ導入は)おそらく、第4戦バーレーンGP(4月21日決勝)か、その後のレースとなるよ」
ピレリのモータースポーツ部門責任者ポール・ヘンベリーは、タイヤの仕様を変えるのはチームが“全員一致で”要請した場合に限ると、次のように話している。
「(満場一致は)ありえないけれどね」
「私たちが何かをして2、3のチームが突然競争力を失い、逆に別のチームが一気に速くなったら文句をいわれるのは、またわれわれだ」
「現状を分析しているところだが、まだ決定は出ていないよ」と、ヘンベリーはドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌に語った。
またヘンベリーは、ドイツのスポーツ情報サイト『spox.com』に次のように話している。「多くのチームは、なんとかして状況を変えて自分たちが有利に運ぶよう躍起になっている。われわれが変更の必要性を感じたら、自分たちでそうするよ」
メルセデスAMGおよびレッドブルの分析によると、マシンのダウンフォースが強ければ強いほどタイヤの減りも早いという。
チーム側は、タイヤの減りについて安全性の問題も考えている。
「事実、タイヤはわずか数周で著しい性能低下を引き起こすだけでなく、大きなカスをまき散らかすんだ」とF1の公式サイトに語るのは、レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコだ。
「そのため、タイヤは根本的に問題があるように見えるね。トラブっているのはタイヤだ。われわれじゃない」
レッドブルは、イギリスのミルトン・キーンズの本拠地に戻ってマシンに改良を加えるよりも、「ピレリと話し合う」ほうが先決だとマルコ博士は考えている。
ロータスが速いのは、マシンを一皮むけば2010年型のルノーR30だからという説がある。ピレリは現在、同マシンをテスト用に使っている。ヘンベリーは、これも「事実に基づくものではなく、ただの陰謀話」と語り、相手にしていない様子だ。
ロータスの消息筋は、イタリア『La Stampa(ラ・スタンパ)』紙にこう語った。「もし、われわれのマシンが2010年製だとしたら、今ごろはひどい有り様だろうね」