マクラーレンのルイス・ハミルトンは、母国イギリスGPでの不調を受けて、エンジニアはマシンのデザインを一から考え直すべきだと語った。
イギリスGPの舞台シルバーストン・サーキットは、マクラーレンの2012年型車MP4-27に有利と見られており、イギリス人ドライバー2人を擁するイギリスの名門チームへの期待は高かった。しかし実際は、不調の続くチームメートのジェンソン・バトンだけでなく、カナダGPで優勝したハミルトンも振るわず、8位スタートで8位フィニッシュという結果に終わっている。
「まだタイトル争いに残っている。でも、かなりタイムを上げない限り、脱落せずにとどまるのは難しくなる」とハミルトンは語った。イギリスGPを終えてのドライバーズランキングは、首位のフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)が2位フィニッシュしたため、両者の差が37ポイントに広がった。
シルバーストンでハミルトン以上に苦戦を強いられたバトンは、昨年まで中団チームだったウィリアムズとザウバーでさえマクラーレンの上をいっていると語った。「僕たちより速いのは、レッドブルやフェラーリだけじゃない。たくさんのクルマがそうだ」
「ザウバーは高速コーナーで僕たちより速い。ウィリアムズは低速コーナーで。今、僕たちが特に強い部分はないように思える」とバトンは嘆いている。
レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、決勝のあと『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に対し、マクラーレンが「今日は相手ではなかった」と語った。
「しかし、シーズン中のこの段階では、誰のことも除外したりしない。ジェンソン・バトンでさえだ」
フェラーリのチーム代表ステファノ・ドメニカリも同意見だ。「チャンピオン争いはまだあらゆる可能性を残している」
「マクラーレンは復活すると確信している」とドメニカリは話した。
しかし、かつてフェラーリでエンジニアを務めていたホアン・ビラデルプラットは、マクラーレンが「垂直落下している」ように見えると『El Pais(パイス)』のコラムで書いている。
マクラーレンのチーム代表マーティン・ウィットマーシュは、新しいピレリタイヤに苦労しているだけだと主張した。
「私は問題を数学的に理解するほうが好きだ」とウィットマーシュ。「だがこの問題に関しては、考えすぎてもまったく役に立たないようだ」と話し、不可解なピレリタイヤが不振の原因だとしている。
しかしハミルトンは、デザイナーやエンジニアに知恵を絞るように求めている。2012年型車の基本的な部分についてまで再考が必要だと考えているようだ。
MP4-27には根本的な欠陥があるのかと聞かれると、ハミルトンはこう答えた。「僕はそんな表現は使っていないよ。あなたたちがそういう表現を使うのは勝手だ」
「クルマを細部までよく見てみる必要がある。とにかく見てよ。僕たちのはほかと違っているだろう」
ハミルトンは明らかに、マシンのノーズのことを言っているようだ。今年はほとんどのチームが、マシン下部により多くの空気を取り込む目的で「ステップ」ノーズと呼ばれる段差のあるノーズを採用している。全チームのなかで採用していないのは、マクラーレンと下位チームのマルシャだけだ。
「そこは大きな違いだよ」とハミルトンも認めた。「僕は空気力学の学者じゃない。でも、あそこに何かあるはずだ。だからそこを考えていくよ。このマシンについてもだけれど、来年のマシンについてもだ」
「今シーズンはあまりに変わってしまった」とハミルトンは締めくくった。