F1公式タイヤサプライヤーであるイタリアのピレリは、2025年のデビューを目指して画期的なタイヤの開発に取り組むことになるようだ。
これは、タイヤ性能に関するドライバーやチームからの不満の声に応えるものだ。
先週末に今季のF1第21戦サンパウロGPが行われたインテルラゴスではドライバーたちの不満の声がさらに強まっていた。このレースでは、タイヤのデグラデーション(性能低下)の問題が浮き彫りとなり、レースにおいてピークスピードを維持することができないことにドライバーたちから反発の声が上がったのだ。
■レースを引き立てたせるタイヤを設計したいとピレリF1責任者
ピレリの自動車レース責任者であるマリオ・イゾラは、このような批判的な意見があることを受け止め、ピレリとして技術革新を続けていくつもりだとしている。
「我々はタイヤの摩耗とコース上の動態との関係を研究しているところだ」
そう語ったイゾラは、次のように付け加えた。
「我々のゴールは、ある意味で、レースを引き立てたせるような摩耗をするタイヤを設計することだ」
■摩耗をなくすことがF1にとっての最善策ではない
ブラジルでのレース後、現F1チャンピオンであるレッドブルのマックス・フェルスタッペンなどは、現状の制約の中でマシンを限界までプッシュすることは不可能だと不満を口にしていた。こうしたドライバーたちの共通の思いが、ピレリがバランスのとれた解決策を追求しようとする原動力となっているようだ。
しかしイゾラは、タイヤの摩耗をなくすことがF1にとっての本当の解決策ではないと示唆している。劣化しないタイヤは、レースの戦略的な複雑さを削ぎ落とし、単調なレースになりかねないからだ。
■必要なのは戦略的多様性を維持できるタイヤ
イゾラによれば、ピレリが目指すのは、そのバランスをうまくとるために、過度な摩耗を抑えつつ、複数回のピットストップが必要となるレースを想定することで戦略的多様性を維持できるタイヤを作ることだという。
「タイヤの摩耗は、サーキットで多くのアクションを生み出すきっかけとなるものなんだ」
「タイヤの摩耗が多様でなければ、レースではなく行列になるリスクがある。我々には、さまざまな摩耗度合いによってもたらすことができる競技要素を維持する必要があるんだ」
そう語ったイゾラだが、ドライバーたちが求めていることに適応させていく必要性もあることは認め、次のように付け加えた。
「ドライバーたちが、よりアグレッシブなレースに耐えられるタイヤを求めているのは確かだからね」