2009年のF1チャンピオンであるイギリス出身元F1ドライバーのジェンソン・バトンが、ダニエル・リカルドが2023年に小規模チームで走るよりもトップチームのリザーブドライバーとなることを選んだのは「奇妙」に感じると語った。
今年いっぱいでマクラーレンのシートを失うことが明らかとなっているオーストラリア出身ドライバーのリカルドだが、現状では2023年に有力チームのレースシートを獲得できるチャンスはすでになくなっている。
■アメリカでもノリスに大差をつけられたリカルド
そのリカルドは、アメリカGPでチームメートのランド・ノリスが6位でチェッカーを受けたのに対し、それに遠く及ばぬ16位でレースを終えてしまっている。
「正直なところ、ペースがあまりに悪くて、それに頼ったり、プッシュしたり、タイムを出したりできないんだ。またこのように大きな差になったのは依然として謎のままだよ」
アメリカGP決勝後にそう語った33歳のリカルドは次のように付け加えた。
「これ以上悪くはならないと思っていたけれど、そうなってしまった。辛いというのは控えめな表現だし、よく続けていられるなと思うよ」
■古巣レッドブルとリザーブ契約のうわさも
リカルドに関しては、2023年にはメルセデスとリザーブドライバー契約を結ぶものと考えられていたが、最近では2018年まで所属していた古巣レッドブルとリザーブ契約するようだとのうわさもささやかれるようになっている。
オースティンでそのうわさについて質問されたリカルドは、次のように答えている。
「わからないよ。今のところ、それはただのうわさだよ」
「(レッドブルと)話をしているのは事実だよ。だけど、何かにサインするとか、そういうことはまだ何もしていないよ」
■インディカーへの転向も拒否
リカルドに関しては、マクラーレン・レーシングのCEOを務めるザック・ブラウンからインディカーへの移籍も提案されていたようだ。しかし、リカルドはそれを拒否している。
「オーバルは、本当にないよ」
「10年前ならイエスと言っていただろうね。でも、正直に言って、オーバルをやる気にはならないんだ」
■ハースよりもトップチームのリザーブが自分のプラン
そう語ったリカルドだが、シートを確保するチャンスがあるとしても、ミック・シューマッハのシート喪失がうわさされているハースで2023年シーズンを過ごすつもりもないという。
小規模予算で知られるハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーは、なぜリカルドが2023年に向けて中団グループに位置するチームのフルタイムシートを得ることよりも、トップチームの控えドライバーとなることを選択するのかよくわからないと今季のF1第19戦アメリカGPが開催された先週末のオースティンで語っている。
「今手に入れられるものがあるにせよ、違うことで自分の目標に集中する方がいいんだ」
リカルドはそう語ると、次のように付け加えた。
「自分のプランにこだわる方が、自分にとってはいいと思うんだ」
■下位チームでもレースを続ける方がいいはずだとバトン
しかし、2009年に現在のメルセデスの母体でもあるブラウンGPでF1チャンピオンとなったジェンソン・バトンは、リカルドの状況は「悲しい」だけでなく、「奇妙」でもあると認めている。
「難しい状況だね」
母国イギリスのテレビ局『Sky UK』にそう語ったバトンは次のように付け加えた。
「僕は彼がもう終わったとは思っていないよ。ダニエルはこれからもずっと戦いたいと思っているけれど、彼にとってはうまくいっていないんだ」
バトンは、F1通算8勝の実績を持つリカルドが、2023年に向けてフルタイムドライバーにこだわるのではなく、リザーブドライバーとして1年を過ごそうと考えているのは「奇妙」だと考えている。
「僕から見れば奇妙だよ。それはうまくいかないよ。でも、彼は明らかにそうすることを選んだんだ。
「僕はむしろ、彼がもっと下位のグリッドでもF1でレースをし続ける方がいいと思う。そうすれば、彼は再び自分自身を証明することができるし、もっと上のグリッドで走るチャンスを得られるかもしれないからね」
そう語った42歳のバトンは、次のように付け加えた。
「だけど、サードドライバーなら、みんなは彼の今年最後のレースを覚えているだけだろうね」