1997年のF1チャンピオンであるジャック・ビルヌーブは、自分が戦っていたころとの比較において、現在のF1マシンの進化ぶりにかなり驚いたようだ。
■F1タイトル獲得25年目にアルピーヌF1マシンをドライブしたビルヌーブ
カナダ出身のビルヌーブは、1995年のCART(現インディカー)チャンピオンという称号をひっさげて1996年にウィリアムズからF1デビュー。そのレースでいきなりポールポジションを獲得すると、決勝ではマシンにトラブルを抱えたこともあってチームメートのデーモン・ヒルにかわされるも2位でフィニッシュするという印象的なパフォーマンスを披露。
そして、1997年にはF1参戦2年目にしてフェラーリのミハエル・シューマッハとの戦いを制してF1チャンピオンに輝いた実績を持っている。
そのビルヌーブがF1王者になってから今年がちょうど25年目であることを記念し、イタリアのモンツァ・サーキットで2021年型アルピーヌF1マシンをテスト走行するチャンスが与えられていた。
9月14日(水)に、BMWザウバーに所属していた2006年のドイツGP以来、ひさしぶりにF1マシンのステアリングを握って本格的な走行に臨んだビルヌーブだが、伝えられるところによれば、51歳のビルヌーブがマークしたファステストタイムは同じ日にアルピーヌの現役ドライバーであるエステバン・オコンが刻んだ基準タイムよりも1秒弱遅かっただけだという。
■映画を早送りで見ているような感じだった
「クルマの進化には驚かされるよ」
母国カナダの『Le Journal de Montreal(ジュルナル・ド・モントレアル)』にそう語ったビルヌーブは、次のように続けている。
「特に、ペダルを完全に踏み込む必要がなくなったブレーキは注目に値するね」
「このマシンは見事な方法でサーキットに張り付くんだ。かなりの高速でも安心してコーナーに進入することができる。かなり度肝を抜かれる体験だったよ」
「クルマはすごく安定していて、全体的に、とても運転しやすいんだ。グリップもすごくいいしね」
ビルヌーブによれば、今回のテスト走行で最も難しかったのは、現代のF1マシンのスピードによって、周囲の光景が非常に速く通り過ぎていくことに適応することだったという。
「脳がスピードを理解するのに苦労するんだ」
そう語ったビルヌーブは、次のように付け加えた。
「まるで映画を早送りで見ているような感じさ」。