FIA(国際自動車連盟)が、レース中の燃料使用量制限の継続を明言した。
2014年F1開幕戦オーストラリアGPで2位となり、自身初の表彰台に立ったダニエル・リカルド(レッドブル)はこの燃料使用量制限に違反したとして失格処分となった。これに対し、レッドブルはジル社製の流量センサーの精度には疑問があるとして、すでに控訴を申し立てている。
第2戦マレーシアGP(30日決勝)でも、リカルドのクルマに取り付けた新品の燃料センサーに問題が生じたと伝えられた。そのため、レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、ついにジル社製流量センサーの使用そのものの見直しを求める声を上げた。
「F1はスポーツであり、技術が一般的になりすぎたり、ファンやチームに混乱をもたらしたりするのはよくない」
マレーシアGPの舞台セパンでそう話したホーナーは、F1のさまざまな問題を合わせて考えても、たかがセンサーの不具合がこれほど大きな問題になるのは「よくない」と話している。
ホーナーは、時間あたり100kgの制限そのものと、めんどうな上に高価なセンサーの使用を「取りやめる」べきだと主張した。
しかし、FIAは方向転換のつもりはないとしている。セパンでの記者会見で、FIAのエンジン専門家ファブリス・ロムはセンサーの取り外しは「危険」だと断じた。
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』によると、燃料流量制限がなければV6エンジンは2,000馬力もの力を生み出してしまうとロムは警告したという。
「フルパワーでレースをスタートした後に速度を落としてその後は燃料を節約するクルマが出てくるだろう。そして、それ以外のクルマはほかのタイミングで同じことをするはずだ」
「これは、速度差の大きいクルマが同時に走ることを意味している。あまりにも危険だ」
レッドブルが2週間前のオーストラリアGPと同じように走り、リカルドあるいはF1チャンピオンのセバスチャン・ベッテルが乗るレッドブルの2014年型車RB10が、レース終了の数時間後にまたしても燃料使用量制限違反で失格となるかが重要なポイントになってくる。
ホーナーはセパンで、「ジル社のセンサーがこの週末もメルボルンと同じように動くことを願うね」と言い、こう続けた。
「そうでなければ、我々は難しい立場に立たされることになる」