3度のF1チャンピオン、ジャッキー・スチュワートと1990年~2000年代にかけてミハエル・シューマッハ(メルセデスAMG)と何度も雌雄をかけて戦ったデビッド・クルサード、ふたりのイギリス人元F1ドライバーが、ルイス・ハミルトンにマクラーレン残留を勧めている。しかし、1996年のF1チャンピオン、デーモン・ヒルは、そろそろ移籍してもよいころだと、前述のふたりとは正反対の考えだ。
2008年の王者ハミルトンは、前戦ドイツGPでF1参戦100戦目を迎えた。2007年にF1デビュー以来マクラーレン一筋で戦ってきたハミルトンだが、報道によれば、今は同チームとの離別を考慮に入れているという。
スチュワートはこう語る。「ハミルトンは、チームが資金力も人材も豊富だと分かっている。F1はチーム力がすべてだ。マクラーレンはすべてを備えているし、F1の戦い方を知っている。それに、非常に経験ある人たちの集まりだ」
さらにスチュワートは、「今もらっている金額」を他チームから引き出すのは難しいとも言っている。
自身もマクラーレンに所属したことがあるクルサードもスチュワートの意見に賛成で、ハミルトンにとって来季も残留することが最善の選択だと『Telegraph(テレグラフ)』の連載コラムで次のように書いた。
「マクラーレンは特別で、とてつもない規模を持つチームだ。気軽にマクラーレンのシートを明け渡すなんて誰もしないよ」
ロータス移籍のうわさもあるハミルトンだが、再びF1タイトルを狙うハミルトンにとって「大きな賭け」だとクルサードは警告する。
「僕だったら今いるチームを動くなと進言するね。そして彼は、そうすると確信している」
一方でヒルは、隣の芝が青く見えるのは仕方がないと、次のように『Express(エクスプレス)』に語っている。
「ルイスは、自分の実力をもってすれば3度は無理としても、せめて今までに2度はF1チャンピオンになってもおかしくないとの思いがあるに違いない」
「ルイスにとってチーム移籍は大きなリスクが伴う。しかし裏を返せば、人は同じ組織内に長くいて成長できるだろうかという考えも成り立つ」
「マクラーレンは、ルイスを少年時代から手塩にかけて育ててきたが、いつまでもルイスを子ども扱いできない。彼はもう大人なんだ。自分で物ごとを判断し、行き先は自分で決められるはずさ」
「問題は、ルイスがそれをマクラーレンで発揮できるかどうかだね」