現在唯一のアメリカンF1チームであるハースは、数年以内に技術パートナーであるフェラーリに依存する割合を大きく減らしていきたいと考えているようだ。
■フェラーリに多くを負っているハース
小規模F1チームとして知られるハースは、現在はアメリカとイギリスに小さな本部を構えている。だが、実際のところチームの開発部門はイタリアのマラネロにあるフェラーリの敷地内に拠点を置いている。そして、現在のレギュレーションが許す範囲でフェラーリから多くのパーツ供給を受けている。
2016年にF1参戦を開始したハースだが、その準備段階からフェラーリと技術提携契約を交わしており、それが功を奏して参戦3年目の2018年にはコンストラクターズランキング5位にまで浮上した実績を持っている。
■コロナが妨げた自立性向上
しかし、ハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーによれば、チームは徐々に自分たちの独自性を高めていく計画をしていたものの、新型コロナウイルス感染症covid-19の世界的大流行がその計画を後退させてしまったのだという。
「我々はトランスミッションやサスペンションを独自に開発し、より独立したチームになることができるんだ」
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌にそう語ったシュタイナーは次のように続けた。
「我々は2018年に最初にそれについて考え、私はその行動計画まで用意していたんだ。2、3年以内にその目標に到達するはずだったが、2020年にパンデミックが起こったことで我々は大きく後退してしまった」
「それよりも、現在の状況においてどう生き残るかを考えなければならなかった。そのときには自律のための時間などなかったよ」
「今、我々は再び、いかにして依存率を下げるかを考えている。新しいシーズンで何が起こるか様子を見て、それから決めることになるだろう」
「だが、2年後、3年後にはかなり可能になると思うよ」
■今後も開発拠点はヨーロッパに
一方、現在アメリカのマイケル・アンドレッティがGM(ゼネラルモーターズ)傘下のキャデラックと組んでF1参戦を目指しており、アメリカ国内に大規模なF1用ファクトリーも建設している。
しかし、シュタイナーは、現実的な理由から、ハースにはアンドレッティのように大部分のマシン開発をアメリカで行うような計画はしてないという。
■スタッフの交代制も現実的ではない
シュタイナーはさらに、メルセデスのような大規模F1チームのように、年間23レースという長いカレンダーに対応するためにシーズンの途中でスタッフを交代させるようなことも自分たちには現実的ではないとしている。
「多くのチームのリーダーたちはとても裕福だから、レースに来ないという余裕もある。彼らには自分たちのために働いてくれる多くの人たちがいるからね」
「でも、個人的に、私はレースに来るのがとても好きなんだ。実際のところ、それが私の一番好きな仕事だよ」
メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフが2023年には23レース全てに帯同するつもりはないと発言したことに言及しながらそう語ったシュタイナーは、自分たちには大規模チームのようにスタッフの交代制を組んでシーズンを戦う予定はないと次のように付け加えた。
「ところどころで何人かは変わるかもしれない。だが、メカニックやエンジニアといった中心的なスタッフは常に同じだよ」