イタリア出身の元F1ドライバーであるエマニュエル・ピロが、フェラーリと新チーム代表のフレデリック・バスールは、イタリアの名門F1チームに「革命」をもたらしたいという衝動を抑える必要があると主張した。
■新チーム代表とともに2023年に臨むフェラーリ
2022年シーズン序盤には、ついにF1タイトル獲得に挑戦できるマシンを持ち込んだと考えられていたフェラーリ。だが、シーズンが進むにつれ、マシンの信頼性問題やチームの戦略ミスなどにより勢いを失ってしまい、最終的にはレッドブルのマックス・フェルスタッペンが大差をつけて2年連続F1チャンピオンとなっている。
その結果を受け、フェラーリは2019年からチーム代表を務めていたマッティア・ビノットを更迭。昨年までアルファロメオ(ザウバー)のチーム代表を務めていたフランス出身のフレデリック・バスールを新たなチーム代表に迎えて2023年シーズンに臨むことになっている。
■今のフェラーリに“革命”は必要ない
かつて1989年にベネトン、1990年と1991年にはスクーデリア・イタリアでF1を戦った経験を持つ61歳のピロは、母国イタリアの『Corriere dello Sport(コリエーレ・デロ・スポルト)』から2022年のフェラーリについて質問されると、次のように答えた。
「フェラーリにとっては、本来の力が発揮できなかった」
「技術面にも、チームマネジメントにも問題があった。だから、私はフレデリック・バスールがスクーデリアの並外れた人材たちに前向きさと秩序をもたらしてくれるだろうと信じているよ」
だが、ピロは、バスールはあまり多くを変えようとするべきではないと考えている。
「今、革命を起こそうとするのはよくないだろうね」
「それよりも、今あるポテンシャルを解き放ち、タイトル獲得に向けてチームに最後の勢いを与える人物がトップにいる必要があるんだ」
■カギは2人のドライバーのマネジメント?
そう語ったピロだが、明確な“ナンバー1ドライバー”を決めていないことが、フェラーリの状況をやや複雑にしている可能性もあると考えているようだ。
「レッドブルでは、マックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスの役割分担が明確になっている。マックスの方が強いドライバーなんだ」
「しかし、メルセデスのハミルトンとラッセル、フェラーリのルクレールとサインツのように、同等のドライバーが2人いる場合、チームのボスはより困難な状況にあるドライバーをサポートしなければならない。親が弱い方の子供を助けるようにね」
そう語ったピロは、次のように付け加えた。
「その後は、困難な時期においては、特別なインスピレーションのひらめきをもたらすことができるドライバーが優位に立ってくる。それがチームメート間の差となるんだ」
フェラーリは、2023年型F1マシンを2月14日(火)に公開する予定となっている。