フェラーリは、2013年F1シーズンも昨年並に混戦のタイトル争いが繰り広げられるだろうと予想している。
2012年シーズンは、12チームのうち6チームが表彰台の真ん中に立ち、F1史上最も「予測不可能なシーズン」といわれた。2013年シーズンのF1に目立ったレギュレーションの変更がないため、昨季の各チームの力関係がそのまま継続される可能性が高い。
フェラーリのチーム代表ステファノ・ドメニカリは、ブラジルの『O Estado de S.Paulo(オ・エスタード・ジ・サンパウロ)』に対し、「レギュレーションに変更が無い場合はいつも、ライバルチームのパフォーマンスに目立った変化が無いだろうと判断する裏付けになる」と述べた。
また、「2009年の旧ブラウンGP(現メルセデスAMG)や2011年のレッドブルのように、画期的な技術を持ち込み、独走状態になるチームはいないと思う」と加えた。
2009年のブラウンGPはダブルディフューザー(※1)を他チームに先駆けて完成させ、その技術によって他チームを寄せ付けない圧倒的な強さでタイトルを獲得した。
また、昨シーズンにドライバーおよびコンストラクター両部門で3連覇を達成したレッドブルの快進撃をうむきっかけとなったのが、2010年に導入したブロウンディフューザーとされる。
トロ・ロッソの新しいスポーティングディレクターに就任したスティーブ・ニールセンも、ドメニカリの意見に賛成のようだ。
「ダウンフォースを発生させるためのエンジン排気の活用は、今シーズンもカギを握るだろう」
「でも、昨年はどのチームもこの分野における新しいアイデアが底をついてしまったようだ」と加えた。
これらの理由から、2013年は例年よりドライバーが大きな影響力を持つと予想する人もいる。
ジャッキー・スチュワート卿は、「ルイス(ハミルトン)の加入がメルセデスAMGを間違いなく強くする」と断言する。
「ルイスは、たとえ劣ったクルマでも、100%以上の力を引き出せるドライバーだ」
「失礼、もうひとりいた。フェルナンド(アロンソ/フェラーリ)もだ」と加えた。
一方で、フェリペ・マッサ(フェラーリ)は2013年と昨季のレギュレーションにほとんど変更点がないものの、フェラーリには改善する余地が残されていると考える。
「僕たちは昨シーズンをいい形で終えられた。マクラーレンやレッドブルほどではなかったけど、開発のスピードは速かったしね」
「進歩の余地はまだかなりあるよ」と語った。
※1:ダブルディフューザーとは、車体後部に装着されている空力パーツのディフューザーにより多くの空気が流れ込むような処理を施した部品で、これによってより大きなダウンフォースを発生させることが可能となる。だがこの技術は2010年以降禁止された。
※2:ブロウンディフューザーとは、エンジンからの排気をマシン後方に設けられたディフューザーという空力パーツに当てることで、クルマを路面に押し付けるダウンフォースを増すことを目的としたシステムである。レッドブルが2010年にこれを導入し、好成績を収めたことから各チームがそれを模倣したが、この技術も翌2011年から禁止になった。