日産が22日(月)、サンパウロ国際モーターショーでブラジル向けにデザインしたアーバンコンパクトスポーツカーのコンセプトモデル「EXTREM(エクストレム)」を公開。その概要が発表された。
NDA(日産デザインアメリカ)のシニア・デザイン・マネジャー、ロバート・バウアーは、「私たちはこのクルマを『Baby Beast(ベイビービースト)』と呼んでいます。このクルマは、アーバンラリーカーであり、都会のジャングルで、機敏に自信を持って走れるタフストリートファイターなのです」と語っている。
デザイン構想の大部分がサンパウロで行われ、NDAのデザイナーがプロジェクトのマネジメントを行った結果、コンパクトスポーツカーの新しいジャンルとなる、魅惑的で特徴ある、独特なシルエットのコンセプトカーができあがった。
エクストレムは実用的な側面も備え持つ。ルーフレールは荷積み用の止め具が組み込まれており、ユニークなシースルーのAピラーにより、車外への視認性が向上している。
ヘッドライトとテールランプは、日産のシグネチャーグラフィックを用いており、先進的なLED技術が使われた。ガラスのハッチバックドアを取り囲むリアランプは、フィン状のランプが重なり合っており、軽快なイメージを醸し出すとともに軽量構造となっている。ひときわ目立つアルミ製のプレートが、その中心に据えられたエグゾーストの周りを囲み、強度を増すためにエンボス加工が施されてた。
エクストレムは、タフさだけではない。埋め込み型のドアハンドルや、一体化型サイドマーカーランプ、フェンダーに取り付けられた軽量ミラー、シームレスなキャノピーを作り出す凹凸のないAピラーとBピラーなど、質の高さ、細部へのこだわりも見ることができる。
リアには、2段構造のラゲッジスペースを確保。ガラス製ハッチの外側から見えるトレイは、日常使用するアイテムの収納ができ、モノが動かないようにバンジーコード(伸縮性に優れたロープ)で固定可能。このトレイは着脱可能で、その下にはさらに収納スペースが隠れている。
明るくハイライトの強いディープなメタリックオレンジのエクストレム専用ボディーカラー「ソーラー コルテックス」は、ブラジルの自然への尊敬の念がこめられている。鮮やかな色のアクセントにより、はじけるようなエネルギーが加味されており、ガソリンキャップ、けん引用フック、ホイールにも採用された。光沢のある質感とマットな質感が組み合わせられたルーフは、特徴的なブラジルのグラフィックに着想を得たものだ。
6本スポークの19インチ合金ホイールは、ダークな内側部分とつや消しメタルの外側部分の二重構造になっており、ブレーキがより冷却されるようにデザインされた。
エクストレムには、ル・マン24時間耐久レースを走った革新的な「デルタウイング」のパワートレインと技術コンセプトを共有する、先進的なターボチャージャー付き(DIG-T)1.6L直噴ガソリンエンジンの搭載を想定。前輪駆動または4輪駆動を選択でき、ハンドリング性能向上のためトルクベクトリング機能が装備されている。
「魅惑的でエキサイティング、革新的で洗練されたデザインは、必ずしも高級車だけのものではなく、手に届くクルマにも巧みに取り入れることができることをエクストレムは示しているのです。同車は、このような可能性に対する日産のひとつの答えであり、日産とブラジルとのデザインにおけるかかわりあいにおいて新たな1ページを刻むものです」と日産の常務執行役員・チーフ・クリエイティブ・オフィサーの中村史郎氏は語っている。
「EXTREM(エクストレム)」の諸元
エクストレムは、「マーチ」と同じ汎用性があり、高い評価を得ている日産のVプラットフォームを採用している。
全長: 3,850mm
全幅: 1,765mm
全高: 1,530mm
ホイールベース: 2,450mm