レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)が、2023年F1第11戦イギリスGP(7月9日決勝)の翌週にシルバーストン・サーキットで行われるピレリのタイヤテストにダニエル・リカルドを起用し、そこで現在の力を「評価」することになると認めた。
2018年までレッドブルに所属していたリカルドだが、2019年にはルノーに移籍。さらに2021年にはマクラーレンへと移ったものの、そこでは期待されたパフォーマンスを発揮することができず、2022年シーズン限りでそのシートを失ってしまった。
レッドブルはそのリカルドを迎え入れ、今年のリザーブドライバー、テストドライバー、そしてアンバサダーとして起用している。
33歳のオーストラリア出身ドライバーであるリカルドにはすでに、苦戦を強いられているニック・デ・フリースの後任として今シーズン中にもレッドブルの姉妹チームであるアルファタウリでF1復帰を果たす可能性があるとの噂もささやかれている。
■トップチーム以外に行くつもりはないとリカルド
だが、リカルドはそれには魅力を感じていないようだ。
「この1年で僕が探り出したいことのひとつは自分が何を望んでいるのかを知りたいということだけど、さらに、自分が望まないことも知りたいと思っているんだ。でも、それについてはもう答えられると思うよ」
そう語ったリカルドは、次のように続けた。
「僕はゼロの地点にまで戻りたいとは思わないよ。ただグリッドについて18番手で苦戦するためだけに戻りたいとは思わないんだ」。
「トップチームにいきなり飛び込むのが難しいのは分かっている。シートの空き状況もあるしね。だけど、可能性さえあればそういう状況においても僕はうまくやれるよ」
■タイヤテストでリカルドを「評価」するとマルコ
そんなリカルドにとって、現在2023年のF1ドライバーズタイトル争いを大きくリードしているマックス・フェルスタッペンのチームメートであるセルジオ・ペレスが不振に陥っているのは絶好のタイミングかもしれない。
80歳のマルコは、母国オーストリアの放送局『ORF』に次のように語っている。
「シルバーストンの後、我々はピレリが主催する3日間のタイヤテストでリカルドをマシンに乗せることになる」
「そして、そこでリカルドが実際にどの位置にいるのかを評価することができる」
■ペレスの今後は不透明に?
リカルドと同じ33歳のメキシコ人ドライバーであるペレスは、すでにレッドブルとの間に2024年までの契約を結んでいる。だが、その契約には契約解除条項があるのは間違いないと考えられており、仮に現在の不調が今後も続くようであれば、シートを喪失する可能性が出てくるは確かだろう。
マルコは、次のように語っている。
「彼(ペレス)の最初の目標は2年か3年だったんだ。いずれにせよ、それは彼にとっては予定外のことだろう。だから、我々は後任の選択肢を広げておかなくてはならないんだ」
こうした中、ロシアのF1コメンテーターであるアレクセイ・ポポフは、ペレスの勢いはドライバーズタイトル争いのプレッシャーによって消えてしまったのだろうと考えている。
「どういうわけか、彼はシーズンをあまりにもうまくスタートしてしまった。セルジオと彼の父親は彼がこれからタイトル争いをすると決めたが、その後3戦連続でQ3に進めなかった」
そう述べたポポフは、次のように付け加えた。
「しかし、最強マシンで3回もQ3に進出しないためには、ほとんどそれを狙う必要があるよ」。