6月に初開催が予定されているアゼルバイジャンでのF1開催に暗雲が立ち込めているようだ。
カスピ海に面したアゼルバイジャンの首都バクーに設けられた市街地コースで今季のF1第8戦(6月19日決勝)が開催される予定となっている。伝えられるところによれば、このレースはヨーロッパGPとして行われることになりそうだという。
■原油価格下落で深刻な状況に
だが、アゼルバイジャンの大統領諮問委員を務めるアリ・ハサノフは、地元の通信社『Azertac(アゼルタック)』に次のように語った。
「アゼルバイジャンは石油の国だ」
「石油と石油製品の価格は2015年初頭以降3分の1にまで値下がりしてきている。つまり、アゼルバイジャンとしての利益が3分の1に減ったということだ」
2016年に入って最初の21日間で、それらの価格はさらに25%も下落している。こうした数値は、世界的な金融危機以降は見られなかったものだ。
その期間には、アゼルバイジャンの通貨価値が30%も下がっており、中央銀行の蓄えも3か月で尽きてしまうだろうと予想している者もいるほどだ。
■F1のキャンセルを呼びかける経済専門家
ブラジルの『UOL(ウニヴェルソ・オンライン)』は、こうした状況を受け、アゼルバイジャン当局関係者たちがF1レース開催をキャンセルするよう働きかけていると報じている。
そのうちのひとりである、アゼルバイジャンの経済専門家ナティク・ヤファリは、次のように語っている。
「彼ら(アゼルバイジャン)は国家予算の削減に迫られている。現状では1バレルあたり50ドル(約5,850円)という価格を基準としているからだ」
だが、現在の価格は、1バレルあたり27ドル(約3,160円)未満に下がっている。ヤファリは、こうした状況のもとでF1を開催したり、2017年に予定されているイスラム圏のオリンピックとして知られるイスラミックゲームスを開催したりすることは無謀だと主張し、次のように主張している。
「現時点において節約するための最善の方法は、F1とイスラミックゲームスをキャンセルすることだ」