世界的エナジー飲料メーカーの総帥であり、レッドブル・レーシングとトロロッソという2つのF1チームのオーナーでもあるディートリッヒ・マテシッツが、現在直面しているエンジンパートナーの問題については「10月下旬」までには決着をつけたいと語ったと『Speedweek(スピードウィーク)』が報じている。
すでに、現在のエンジンパートナーであるルノーとの決別が確定的となっているレッドブルだが、今週に入ってからチーム代表のクリスチャン・ホーナーが、今もメルセデスとフェラーリの2社と話し合いを続けていると語ったことが報じられた。
■食い違うレッドブルとメルセデスのコメント
だが、これに対しメルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフは、それは事実ではないと反論。さらに、非常勤会長のニキ・ラウダも『Osterreich(エステルライヒ)』に次のように語った。
「話し合いなど行われていないよ」
「我々は(来季から)マノーに(エンジンを)供給することを決定した。つまり、これで4チームになる。我々にとってはもはや一件落着だ」
ラウダは、そういう状況にもかかわらず、なぜレッドブルのホーナーがまだメルセデスエンジンを搭載する可能性もあるとほのめかしたのかは謎だと次のように続けた。
「恐らく、彼らはもうここ(F1)にいたくないんだろうと思うよ」
■レッドブルの状況は自業自得
そのラウダは、ドイツのテレビ局『RTL』に対し、仮にレッドブルとトロロッソがF1から撤退することになれば「大きな損失だ」と語った。だからといって、ラウダはレッドブルに対して同情しているということではないようだ。
「彼ら(レッドブル)はルノーとの契約を満了1年前に解約してしまった。それによって、今のような窮地に立たされてしまったんだ。彼らのほうにこそ問題があるのだ」
「レッドブルとの話し合いは行われていないよ」と繰り返したラウダは、次のように付け加えた。
「話し合いを持っているのはフェラーリだろう。だが、どうなるかなんて、私には分からないね」
■解決の糸口がないレッドブル
最近、F1関係者の間でささやかれているひとつのうわさは、トロロッソがフェラーリから2016年に1年落ちの旧型パワーユニットの供給を受けることで合意に達したらしいというものだ。
だが、そうした解決策を2010年から2013年までF1王座に君臨していたトップチームのレッドブルが受け入れるわけにはいかないだろう。
マテシッツは次のように語っている。
「我々はエンジンを手に入れようと努力している。だが、欲しいものを手に入れることができないんだ」
「(F1を)続けるための必須条件は、戦闘力のあるエンジンを手にすることだ」
■レッドブルにはF1を続ける必要がない
元F1ドライバーであり、キャリア終盤にはレッドブルで活躍していたデビッド・クルサードは、レッドブルが真剣にF1からの撤退を考えているのは確かだとスペインの『Marca(マルカ)』に次のように語った。
「もちろん、そうさ」
「レッドブルにはF1にとどまる必要はないんだ。彼らのビジネスは飲み物を売ることであり、F1カーを売ることではないからね」