レッドブルでモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコが、もしセバスチャン・ベッテルが今季もレッドブルにとどまっていたとしても、現在の苦境から抜け出すことはできなかっただろうと語った。
「おそらく、クルマの開発に関してはね」とドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』に語ったマルコは、次のように続けた。
「例えば、今では再び彼(ベッテル)が好んでいたブレーキメーカーに戻している」
「だが、エンジンの問題に関しては、たとえ彼であってもどうすることもできないだろう。クルマはいいものになっているという確信はあるよ」
今週末のF1スペインGP(10日決勝)から新たにショートノーズを施した今季型車RB11を投入すると言われているレッドブルだが、やはり現在の不振の根本的原因はエンジンサプライヤーのルノーが供給するワークスエンジンにあるという見方に変化はないようだ。
マルコと同じオーストリア出身の元F1ドライバーであり、かつてトロロッソの共同オーナーを務めていたことでも知られるゲルハルト・ベルガーもルノーに対して批判的だ。
現時点ではメルセデスやフェラーリのパワーユニットに太刀打ちすることができないルノーに関して質問されたベルガーは、「私はまったく驚いてなどいないよ」と答え、次のように続けた。
「彼らのファクトリーはすでに時代遅れだ。それに、メルセデスは彼らの3倍ものエンジニアを抱えているし、予算だって少なく見積もっても3倍は余計に使っているよ」
現在、レッドブルは歯がゆい状況に置かれている。エンジンに関しては、ライバルであるメルセデスやフェラーリのものに替えることなどできるわけはなく、ルノーに頼るしかない状態だからだ。
そして、そのルノーはF1からの完全撤退さえほのめかしている。
「そうなれば、我々も一緒にF1から出ていくしかないし、ルノーに対して訴えを起こすことになるだろうね」とマルコ。
一方、昨シーズン限りでレッドブルを離脱し、今やフェラーリの赤いレーシングスーツを身にまとったベッテルは今季のF1チャンピオン候補のひとりにあげられている。
「セバスチャンは、我々の現在の状態をあざ笑ったりなどはしていないよ」
そう述べたマルコは、次のように付け加えた。
「彼は自分が今フェラーリでうまくやれていることをよろこんでいるだけさ」