これまでフェルナンド・アロンソがフェラーリを離脱するのではないかとのうわさが煙のようにくすぶっていたが、どうやらそこからついに炎が上がり始めたようだ。
ここへきて、アロンソがこのままフェラーリへとどまるかどうかについては、非常にあやしい状況となってきている。
アロンソの母国スペインのメディアの中には、フェラーリ移籍以来F1タイトルに手が届かず、不満を募らせていると言われるアロンソだが、現時点ではマクラーレン-ホンダや、昨年まで4年連続でチャンピオンチームとなったレッドブルへ移籍するつもりはないだろうとしているところもある。
■アロンソとバトンが新生マクラーレン-ホンダをドライブ?
しかし、最新のうわさでは、マクラーレンがアロンソとジェンソン・バトンという経験豊かなドライバーラインアップでホンダとの新たな時代をスタートさせることになるのではないかと言われている。
そうなれば、今季マクラーレンからF1デビューを飾ったばかりのケビン・マグヌッセンは、昨年のセルジオ・ペレス(現フォース・インディア)同様、わずか1年で名門チームのシートを失ってしまうことになる。
そのマグヌッセンが突然、そうしたうわさを裏付けるように、ロシア『f1news.ru』に対し、自分の将来に不安が生じていることを認めながら次のように語った。
「マクラーレンから小規模チームへ移籍しても意味がないよ」
「もし僕がマクラーレンでうまくやれず、彼らの期待に応えることができないんだとしたら、いずれにしろ僕にはF1チャンピオンになれるだけの力がないということさ」
■アロンソとマティアッチの関係悪化もうきぼりに
そのマグヌッセンの発言と時を同じくして、今年4月に新たにフェラーリのチーム代表となったマルコ・マティアッチとアロンソの関係があまりうまくいっていないという兆候が、これまで以上に大きく、具体的に伝えられている。
主要メディアのいくつかが、アロンソのフェラーリ残留に関する非常に直接的な質問をマティアッチに向けたところ、マティアッチはこれまでにはなかったような答え方をしている。
「フェルナンドが2015年もフェラーリにいるかって? 現時点ではイエスだね」
そう答えたマティアッチは、次のように続けた。
「彼とは2016年までの契約がある。だが、今後の関係に関する話し合いも行われている」
アロンソはすでに『La Stampa(ラ・スタンパ)』に対し、フェラーリと何らかの話し合いを行っていることを明らかにしていたが、マティアッチもそれを認めざるをえなかったようだ。
■フェラーリのさらなる変化を示唆するマティアッチ
さらに、イタリアのスポーツ専門誌である『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、22日(月)に、アロンソはすでに「フェラーリを離脱する意向を表明した」と報じている。アロンソが、ずっと続いている現在の状況は要望に合致するものでもなく、受け入れられないものだと最終判断したためだという。
『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』には、次のようなマティアッチのコメントが引用されている。
「我々は過去の栄冠の上にあぐらをかくことなく、変化してゆくための勇気を持たなくてはならない」
「私はそれを推進するよう求められているが、全員がそうしたいと思っているわけではない」
スペインのスポーツ紙である『Marca(マルカ)』は、マティアッチはシンガポールで次のように主張していたと報じている。
「今週、私とフェルナンドの間の関係には何の変化もないよ」
だが、マティアッチは、明らかに今年フェラーリに起きた大きな管理体制変化について言及しながら次のように続けた。
「これほどの大きな変化が起こった時、全員がそれに満足するような会社があるかどうか、私には分からない」
「それを好ましく思う者もいれば、そうではない者もいるだろう。だが、変化する勇気を持たねばならない時もあるものなんだ」
■レース後コメントにも表れたアロンソとフェラーリの溝
マティアッチとアロンソの対立が根強いものとなっているであろう兆候は、シンガポールにおけるフェラーリのパフォーマンス評価においても見て取れる。
マティアッチは、フェラーリは前戦イタリアGP(第13戦)の時に比べ、格段の進歩を果たしたと次のように主張している。
「我々にはレッドブルにひけをとらない速さがあった。クルマが改善されたことは明らかだ」
だが、アロンソは次のように冷ややかに語った。
「僕のチームメート(キミ・ライコネン)は僕より45秒も後ろでゴールしていたよ」
今後のアロンソの動向に、いよいよ目が離せなくなってきたようだ。