今週末にグランプリが開催されるモナコ(5月26日決勝)において、話題の中心はやはり「タイヤ」であった。
パドックでいま、最も話題になっているうわさは、第7戦F1カナダGP(6月9日決勝)以降のレースに持ち込まれるタイヤに対して、ピレリがごくわずかな変更点しか加えないだろうとする内容のものだ。
信ぴょう性の高い情報によると、変更はリアタイヤにのみ施(ほどこ)される予定。これはフェラーリとロータスにとって朗報であるが、メルセデスAMGとレッドブルにとってあまり良い知らせではない。
「そのほかにもあったら、それは不公平だ」とキミ・ライコネン(ロータス)は『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト )』に語った。
「一部のチームがタイヤを使いこなせないからというだけで、すべては変えられない」
「でも、リアタイヤの強度を上げるというアイデアは受け入れられる。みんな助かるんじゃないかな」
また、フィンランドのテレビ局『MTV3』に対し、「最も公平なやり方は、いまのタイヤを継続することだろう。でも、彼らが何らかの変更を加えるよう、かなりの圧力をかけられていることも理解している」とライコネンは締めくくった。
各チームは、23日(木)にリアタイヤに施されるマイナーな改良に関するより詳しい情報を手にすると言われていた。
一方で、この問題はいまだにパドックの意見を二分しているようだ。フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)は、レッドブルの抗議をただの負け惜しみにすぎないと話した。
アロンソは、英語による取材に対し、「いとも簡単に勝てるシーズンを数年送ると、こういったことがときどき起こるものだ。いったんそうなると、数レース負けただけでつらいと感じるようになる」と語った。
しかし、母国語スペイン語による取材では、もっと率直な意見を述べている。
「僕たちは今季、彼ら(レッドブル)も人の子であるということが分かった。マレーシアGP(3月24日決勝)がそうだったし、いまではこうした発言においてもね」
さらに、「簡単な方法で何年も勝っていると、負け方を忘れてしまうのさ」と付け加えた。
時を同じくして、F1世界王者のセバスチャン・ベッテル(レッドブル)は、なおもピレリ批判を続けている。『SID通信』に対し、「プロのスキー選手が翌シーズン、木製のスキーに変更を余儀なくされるようなものだ」と話した。
「他人の悪口は言いたくない」と言いながらも、「この状況において、彼ら(ピレリ)はもっとまともな仕事をする必要がある」とベッテルは不満をあらわにした。
「タイヤの表面がはがれるのを繰り返し見てきた。それは、タイヤがダメだからだ」
イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』には、「誰もトンネルの中でトレッドがはがれ落ちることを望んでいない」と述べた。
ベッテルは一方で、レッドブルが他チームよりも不満を口にしているとの考えを否定している。
「例えば、君たち記者は、マルシャより僕たちのコメントを取り上げると思う」
「でも、ドライバーの会議において、あのロータスでさえ程度は違うけれど、僕たちと同じ問題を抱えていると不満を言っている。だから、僕たちだけが文句を言っているわけではない」と強調してみせた。