ジェンソン・バトン(マクラーレン)は何事にも抜かりがないようだ。
バトンは、これまで2009年、2010年、そして2012年と3度F1オーストラリアGPで優勝を飾っているが、そのときは常にメルボルンの同じホテルの同じ部屋に泊まっていた。そして、バトンは今年も同じようにその部屋を確保している。
だが、それだけではないようだ。バトンは14日(木)にドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように明かしている。
「昨日、これまで3年間ここに来るのに使ったのと同じ自転車に乗ったよ」
「それに、いつもと同じパブでビールを飲んだ。別に僕は縁起をかつぐほうではないけどね!」
最終戦のブラジルGPを勝利で飾って昨シーズンを終えたバトンは、間違いなくその時点では最高のクルマを手にしていたわけだが、実際のところ、すべてがバトンの計画どおりに進んでいるわけではなさそうだ。
2014年から新たなV6ターボエンジンが導入されることになっており、今年は現行のV8エンジンで迎える最後のシーズンとなる。また、レギュレーションもほとんど昨年と変わっていないことから、F1チームの多くは今年のクルマを準備するにあたって、昨年のクルマをベースとして改良を施した「進化型」としている。だが、マクラーレンはその手法をとらず、すべてを新たに設計し直した2013年型車MP4-28を投入してきたのだ。そして、今まさにマクラーレンはその新しいF1カーについての理解をし始めているところだ。
これについて、バトンは次のように話している。
「もし今回がバルセロナで行われるスペインGPだったとすれば、僕も心配になっただろうね」
「(バルセロナで)いくらかテスト走行を行ったけれど、どうしようもなかった」
「でも、メルボルンはまったく違うからね」
確かにその通りだ。それに、寒かったバルセロナと比べれば、南半球の気候条件もかなり違う。だが、それでもまだ十分ではないかもしれない。現時点においては、レッドブル、メルセデスAMG、フェラーリ、そしてロータスさえもがマクラーレンよりも速いだろうと考える者もいる。
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、バトンは燃料を少ししか積んでいない状態において、同じ条件のルイス・ハミルトンのメルセデスAMGに対して1秒の遅れをとったままテスト期間の終了を迎えたというマクラーレン関係者の話を紹介している。
あるマクラーレンのエンジニアは、「われわれが採用した手法が効果を現すまでには、3レースか4レースかかるかもしれない」と語ったという。