最近ようやく調子が上向きになって来たフェラーリ。しかし先週末のカナダGPにおいてフェルナンド・アロンソを勝たせるためにチームがとった作戦に関して、フェラーリのおひざ元イタリアでは賛否両論が渦巻いている。
イタリア紙『La Stampa(スタンパ)』は、今回の作戦を「フェラーリのハラキリ」と仕方のなかったこととして支持しているが、一方の『La Repubblica(レプブリカ)』は、「正気ではない、完全に正気ではない」と糾弾した。
これに対しフェラーリのチーム代表ステファノ・ドメニカリは、レースの結果を見てからあれは間違った作戦だったと意見するのは簡単だと述べている。
「レース終了後であれば、7歳や8歳の子供だって正しい戦略を考えることが可能だろう」
ドメニカリによると、エンジニアたちとの議論の末、アロンソであればタイヤの性能低下をうまくコントロールできると判断したため、1回のみのタイヤ交換で走りきる1ストップ作戦を決断したという。
そして結果的に見れば、この決断が裏目に出て、アロンソは後続のクルマに次々と抜かれていった。
「選択を迫られた際には、どれか1つを選ばなくてはならない。そしてあの瞬間においては、(1ピットストップ)作戦が最適なものであったたため、それで戦うことに決めたんだ」とドメニカリは続けた。
アロンソ本人もこの意見に同調している。
「1ピットストップ作戦で臨んだグロジャン(ロメ・グロジャン/ロータス)は優勝寸前までいったんだから、作戦自体は正しいものだったと思う。僕たちは勝ちにいこうとしたんだけど、うまくいかなかった。でもポイントを獲得することができてほっとしているよ」
なおイタリア紙『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、フェラーリを支持する記事を掲載している。
「今シーズンを通して初めて、フェラーリは勝利を手にするために賭けに出た。結果的には、(この作戦が)裏目に出てしまったが、こういったことは得てして起こり得るものである。今回の場合は、リスクを冒すに値するケースであった」