不調の続くフェリペ・マッサ(フェラーリ)が苦境に立たされている。フェラーリ内からもマッサの成績に不満の声が出てきた。
「(マッサは)次のモナコGP(27日決勝)ではもっと力を発揮しなければいけない」
こう言い放ったのはフェラーリのチーム代表ステファノ・ドメニカリだ。ドメニカリは先週末のスペインGP開催後、次のような言葉を残しバルセロナを後にした。
「チャンピオンシップだけでなく、コンストラクターズ(チーム部門)で戦っていくためにも彼にはもっとポイントを獲得してもらいたい」
また、追い打ちをかけるかのように、フェラーリのツイッターにはマッサのパフォーマンスに「落胆している」とのコメントが掲載された。
一方でこのツイートに関して質問が飛ぶと、フェラーリのスポークスパーソンは『Sunday Times(サンデー・タイムズ)』紙に対して「誤った言葉の選択だった」と語り、「フェリペの結果に落胆しているが、彼本人にではない」と付け加えた。
しかしチーム内では、マッサがすぐにでもレース成績を上げなければいけないという意見で一致しているようだ。
チームの公式サイトに掲載されたコメントによれば、マッサのチームメートであるフェルナンド・アロンソは「常に高いレベルを維持してきている」と高評価だが、マッサについては「この不調の影響は大きい」と辛口だ。
「マッサは2年前であったら5月のこの時点ですでに49ポイント、昨年でも24ポイント獲得していた。ところが今年はわずか2ポイントだ」とかなり手厳い。
そして「次のモナコGPから流れを変えていくことをチームの皆が、そして誰よりもマッサ自身が強く望んでいる」と公式サイトでは締めくくられている。
まさにがけっぷちに立たされているマッサ。母国ブラジルのメディアですら状況は悪いと見ているようだ。『Globo(グローボ)』紙の記者は次のように述べている。
「彼はピンチだ。成績は下降する一方で、ことごとく対処ができていない。このシーズンすら終えられないかもしれない」
「しかし彼(マッサ)が去っても代わりがいないというのも現状だ。セルジオ・ペレス(ザウバー)、小林可夢偉(ザウバー)、マーク・ウェバー(レッドブル)といった欲しがられそうなドライバーはみんなチームが決まっている」
フェラーリの本拠地イタリアでの報道も気にかかる。
15日(火)の『Corriere dello Sport(コリエーレ・デロ・スポルト)』では、マッサ放出は間近と報道されている。
さらに『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』に至っては、マッサの名前すら話題にしておらず、マッサの母国ブラジルのジャーナリスト、リビオ・オリッキオは、「まるで彼がすでに存在しないかのようだ」と『O Estado de S.Paulo(オ・エスタード・ジ・サンパウロ)』紙で述べている。
「イタリアの新聞で、しかもマッサはフェラーリのドライバーなのに」とオリッキオは危機感を抱いた。
しかしマッサ本人はサバサバとしている。スペインGP終了後、自分のF1キャリアが終わってしまう不安を感じるかと尋ねられたマッサは、次のように答えた。
「不安なんて感じないよ。僕は先のことを心配しない。今ここで、この瞬間を生きているんだから」
そして、不調が続くことに対して恐れはないのかと質問する記者たちに対して、力強くこう言い放った。
「恐れるものなんて何もない。特に批判なんてなんとも思わないよ。僕はこれっぽっちも揺らいだりはしない」