アストンマーティンのコマーシャル担当マネジングディレクターであるジェファーソン・スラックが、F1チームが売却されるのではないかとの噂を否定した。
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■株式の一部譲渡が明らかとなったアストンマーティン
最近、カナダの大富豪として知られるローレンス・ストロールが所有するイギリスの有名な自動車会社であるアストンマーティンのワークスF1チームが売却されるのではないかとの噂がささやかれるようになっている。
とりわけ、チームの株式の一部が最近ベンチャーキャピタルの『Arctos Partners (アークトス・パートナーズ)』に譲渡されたことが明らかとなったことで、その噂に拍車がかかっている状況だ。
ちなみに、アークトス・パートナーズはリバプールFCやNBA、NHLなどにも出資していることで知られている。
アストンマーティンでは2023年にセバスチャン・ベッテルの後任として加わったフェルナンド・アロンソと、ローレンス・ストロールの息子であるランス・ストロールがドライバーを務めているが、ローレンス・ストロールとしては息子とアロンソの差が大きいことでF1チーム運営への意欲を失ったのではないかと考えている者もいるようだ。
■株式譲渡はチームが次のステップに進むためだとマネジングディレクター
しかし、このほどスペインの『Diario Sport(ディアリオ・スポルト)』からその噂について質問されたスラックは、ローレンス・ストロールがチームを手放すことはないと主張し、次のように続けた。
「ローレンスはアストンマーティン・ラゴンダ(アストンマーティンの持ち株会社)と呼ばれる会社も持っている」
「それ(会社)も彼の人生にとって非常に重要な部分なんだ」
「F1チームはアストン・マーティン・ラゴンダのマーケティングにおける基盤となるものだ。そしてもちろんローレンスは大金持ちだ。資本の問題ではないんだ」
スラックによれば、今回の株式売却はむしろF1チームがレースでの勝利とタイトル獲得に向けて次のステップに進むための戦略的提携だという。そして、今回の少数株式の売却により、シルバーストンに本拠を置くF1チームの評価額は10億ドル(約1500億円)に達すると予想されているようだ。
■経営権を譲渡するようなことはない
「彼ら(アークトス)は決して支配しようとはしない。彼らが何かを所有し、運営するようなことはないんだ。小規模株主に過ぎないし、彼らがこのチームを所有することは絶対にないよ」
「もしローレンスが、最終的に経営権を渡す可能性のある人物に売却するつもりだったなら、彼ら(アークトス)に売ることはなかったはずだ」
そう続けたスラックは、次のように付け加えた。
「これにより、我々が必要なことをし、必要な投資をするための適切な財務パートナーを得ることになる。ローレンスだけでそれができなかったわけではないが、今後はそれで暮らしを立てる真のパートナーを有することになるんだ」
現在はメルセデスからエンジン供給を受けているアストンマーティンだが、新たなレギュレーションが導入される2026年からはレッドブルとの関係に終止符が打たれるホンダと新たに手を組むことになっている。