メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフが、2023年シーズンに向けてF1マシンの基本コンセプトを根本的に変えることになると認めた。
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■2022年型F1マシンは失敗に終わったメルセデス
2022年に導入された新技術レギュレーションにより、今年のF1マシンはシャシーそのものがダウンフォースを発生するグランドエフェクト効果を持つものに変わっている。
昨年まで8年連続でコンストラクターズタイトルを獲得してきたメルセデスは、それに対して「ノー・サイドポッド」とも呼ばれる極端にサイドポッドを絞り込んだ独特なコンセプトのマシンを投入。
しかし、メルセデスはシーズンを通してレッドブルとフェラーリに遅れをとってしまい、先週末に行われた第19戦アメリカGPでは今季最後の大型アップグレードを投入したものの、その差を縮めることはできなかった。
「DRS(空気抵抗低減システム/可変リアウイング)を作動させたときには、彼らは僕たちより時速35キロメートルは速いんだ」
アメリカで2022年のコンストラクターズタイトルを確定させたレッドブルに言及しながらそう語ったルイス・ハミルトン(メルセデス)は、次のように続けた。
「DRSを使わなくても、彼らは僕らより時速8キロメートルは速いと思う。だから僕たちはストレートで多くの時間を失っているんだ。おそらく少なくとも1周でコンマ4秒はね」
「だから、僕たちは来年のマシンをいくらか改善する必要があるよ」
■2023年にはマシンコンセプトを大幅に変えるとトト・ヴォルフ
ヴォルフも、「ノー・サイドポッド」と呼ばれるコンセプトが廃止されるかどうかはまだわからないものの、マシンに大幅な改良が加えられることになるのは間違いないと認めている。
「来年にはマシンのDNAが変わることになるだろう。それは確かだよ」
先週末にアメリカGPが開催されたオースティンでそう語ったヴォルフは次のように付け加えた。
「それは、必ずしもボディワークが非常に違うものになるという意味ではないよ。だが、間違いなく、マシンのDNAの一部である構造は来年には変わるだろうね」
■2023年のマシン開発はメルセデスが有利に
メルセデスがトップに返り咲くためには、来シーズン中の継続的なマシン開発も重要になるだろう。ヴォルフは、何シーズンも続けて1チームだけが圧倒的に強さを誇ることを防ぐために設計された現在のルールに言及しながら次のように語った。
「2022年の前半は、我々の風洞時間は18か月前のレッドブルと比べると7パーセント少なかったし、フェラーリよりもかなり少なかった。今度はその逆になっていく」
「レッドブルとの比較では、もし我々が(コンストラクターズランキング)3位で終えれば、(風洞時間を)14パーセント多く獲得できることになる。これはまさにレギュレーションが意図していることであり、我々がアドバンテージを獲得し、強さを取り戻す可能性を与えてくれるものなんだ」
■レッドブルにはさらなるハンディキャップ?
さらに、2021年予算上限超過違反を犯したレッドブルに対してFIA(F1統括団体の国際自動車連盟)がどういうペナルティを科すのかに注目が集まっているが、多くの関係者は多額の罰金と風洞時間の25パーセント削減になるのではないかと予測している。
コンストラクターズタイトルを獲得したチームには、ヴォルフが示唆したように、マシン開発のための風洞テスト時間がライバルチームたちよりも減らされることになるわけだが、ペナルティによってその時間がさらに削減されることになれば、レッドブルにとって大きなハンディキャップとなるのは間違いないだろう。