2026年からエンジンサプライヤーとしてF1活動を開始することになるアウディだが、どのチームと組むことになるのかについては今年中には発表されることになるようだ。
■ザウバーとの提携がうわさされるアウディ
これまでの報道によれば、フォルクスワーゲン傘下のアウディは、現在アルファロメオというチーム名称でエントリーしているザウバーと提携することがすでに決定しており、スイスに拠点を構えるザウバーの75パーセントの株式をアウディが取得することになると考えられている。
そうなれば、アウディは単なるエンジンサプライヤーとしてではなく、自らのワークスF1チームを擁してF1に乗り込むことになる。
しかし、アウディ・スポーツのCEOとしてF1プロジェクトを率いるアダム・ベイカーは、まだそれを具体的に発表する段階にはないようだ。
「我々は自分たちのプロジェクトのコンセプトについて、あらゆる選択肢を検討したよ」
スペインのマドリードで行われたイベント会場で報道陣にそう語ったベイカーは、次のように付け加えた。
「年内にはパートナーについて発表し、どのように取り組んでいくかを説明することになる。しかし、我々は理想的なパートナーに何が必要かを理解しているし、これによって将来の成功が可能となるだろう」
■3年かけて勝利を目指すのが現実的アプローチ
ベイカーは、2026年のF1参戦開始から3年以内にレースで勝利するという目標を掲げるつもりだとしている。
「我々もこの挑戦の規模は理解している。しかし、我々は成功を収められることを示したいと思っている」
「取締役会のメンバーもF1について非常によく知っているし、その難しさも十分承知しているよ」
「しかし、エントリーするにあたって、2026年は非常に魅力的な年だ。我々は最初から競争力を示したいと思ってはいるが、現実的でなければならない。3年後にはレースで勝てる位置にいたいと思っているよ」
「ルール変更があり、誰もが今は財政的な制約の中で仕事をしている。だから、一部のチームが優位に立つことができた過去とは状況が非常に異なっている」
「こうした状況下では、3年というのは現実的な道筋だよ」
■ドライバーの検討時間は十分にある
しかし、F1で勝つためには、勝てるドライバーが必要となるのも事実だろう。しかし、ベイカーは、ドライバー問題を考えるための時間は十分にあると次のように語っている。
「関心は高いが、あと3年半もあるし、ドライバー市場に多くの変化が起こるには十分な時間があるよ」
「我々はプログラムやシミュレーターを用意することになるし、ドライバーと協力して開発を進めていくつもりだ。それを若手ドライバーのプログラムとつなげることもあるだろう。しかし、それについてはあとで話すことにするよ」
「今ではドライバーのシミュレーター作業が増えているし、ベテランドライバーを起用するのは非常に興味深いだろうね。もちろん、それについても検討はしているよ」
スペイン人記者が、ターゲットになりそうな人物としてスペイン出身ドライバーであるカルロス・サインツ(フェラーリ)の名前を挙げると、ベイカーは次のように答えた。
「それは素晴らしいだろうね」
「でも、まだ何年も先の話だよ。アロンソも一緒に? ドリームチームだね!」
「もちろん我々も興味は持っている。しかし、3年後にどうなるかを考えるのは非常に難しいことだよ」
「夢を見ることはできる。だが、それは憶測に過ぎないよ」
ドイツ人ドライバーであるミック・シューマッハがアウディの最有力候補になるのではないかという見方もあるが、ベイカーは「国籍ではなく、市場によって」ドライバーラインアップが決まることになるだろうとしている。
■カスタマーチームへエンジン供給の可能性も
また、2026年からアウディがカスタマーチームにエンジンを供給する可能性もあるのかと質問されると、ベイカーは次のように答えた。
「その準備をすることは約束するよ。しかし、現時点では具体的な顧客チームを探しているわけではないんだ」
「それに、レギュレーションによって、ほかのチームにエンジンを提供しなければならなくなるかもしれないしね」
ベイカーはさらに、ドイツのノイブルクにあるアウディ・スポーツのファクトリーでF1マシンの開発作業が始まったところだと明かし、次のように続けた。
「我々は今始めたところだ。電気側とシャーシの開発は非常に重要だからね」
「テストは2025年の半ばに、おそらくスペインで始めることになるだろう。そして、2026年にスタートすることになるよ」
■最終的には300人体制規模のチームに
一方、これからF1プロジェクトを本格的に開始するアウディにとってもうひとつ重要な課題は、人材の補強だろう。
「非常に有能な技術者集団によって非常に迅速にスタートすることができたので、人員を補充したり、外部から雇用したりする必要はなかったんだ」
「我々は約130人だが、非常に迅速にチームを構築しているところだよ。最終的な人数はどうなるかは、社内外の経費がどれだけかかるかを考えるとすぐには答えにくいね」
そう語ったベイカーは、次のように付け加えた。
「だが、確かに、300人以上にはなるだろうね」。