アルファタウリを率いるチーム代表のフランツ・トストが、現在唯一の日本人F1ドライバーである角田裕毅が2023年もF1で走ることができるかどうかは本人次第だと語った。
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■「問題児」との烙印を押されてしまった角田
レッドブルのセカンドチームであるアルファタウリは、すでに6月下旬にピエール・ガスリーが2023年もチームに残留することを正式発表している。しかし、昨年からガスリーのチームメートを務めている角田の今後に関してはまだ何も発表されていない。
実際のところ、レッドブルとアルファタウリのドライバープログラム責任者であるヘルムート・マルコは、最近立て続けに大きなミスを犯してしまった角田を「問題児」だと呼び、レース中の感情コントロールを学ばせるために心理学の専門家をトレーナーとしてつけたことも明らかとなっている。
■問題児は嫌いじゃないとアルファタウリのボス
そうした中、角田に関して質問されたオーストリア出身のトストは、微笑みを浮かべながら次のように語った。
「私は問題児が好きなんだ。なぜなら、そういう子からは何かを引き出すことができるからね」
「私は、聖人のような子供たちは好きではないよ」
■2023年も残留できるかどうかは今後のパフォーマンス次第
トストは、角田がまだミスを犯すのは「成長プロセス」にあるからだと語ったものの、「速さ」があるのも事実であり、それはいいニュースでもあるとしている。
「クラッシュを除けば、彼がシーズン中にやってきたことを続けてさえ行けば、我々と一緒にいられる可能性は高いと思うよ」
そう語った66歳のトストは、角田が2023年もアルファタウリに残留できるかという質問には次のように答えている。
「それは彼次第だね。いいパフォーマンスを見せれば、彼は残留できるだろう。もしも、いいパフォーマンスを示さなければ、彼はアウトだ。とても簡単な話だよ」
■来週末からの2連戦が来季に向けたカギか?
今季序盤には昨年から大きく成長した姿を見せていた角田は、パフォーマンス面でもガスリーにひけをとらず、第7戦モナコGPを終えた時点では獲得ポイントでもガスリーを上回っていた。
だが、第8戦アゼルバイジャンGP決勝を6番グリッドからスタートしたガスリーが5位でフィニッシュして10ポイントを稼いだのに対し、8番グリッドスタートだった角田は大きく順位を下げ、13位に終わってしまった。
そして、そのレースでガスリーにポイントランキングで逆転を許したことがプレッシャーとなったのか、第9戦カナダGPではタイヤ交換を済ませてピットアウトする際にそのままコースオフしてリタイアするというミスを犯してしまった。
さらに、続く第10戦イギリスGP決勝ではガスリーをオーバーテイクしようとした際にリアのコントロールを乱して両者がクラッシュするという、あってはならないミスも犯してしまっていた。
特に、イギリスGPの場合はポイントを獲得するチャンスも十分にあっただけに、チーム内での角田に対する評価も非常に悪くなってしまったようだ。
ともあれ、近年のF1ではシーズン前半が終わったあたりで次の年のドライバーラインアップを決めることが多くなっており、角田にとっては夏休み前に行われる来週末からの2連戦、第12戦フランスGP(24日決勝)と第13戦ハンガリーGP(31日決勝)で、チームを納得させられるようなパフォーマンスを見せる必要がありそうだ。