2022年3月26日(金)、F1第2戦サウジアラビアGPのフリー走行中に近郊のアラムコ石油精製所で爆発事故が発生し、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が犯行声明を出した。
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しかし、F1は土曜日の朝「安全は保証されている」として土日のイベントを予定通り開催すると公式発表を出した。
■ベッテル、F1に物申す
F1が新たな危機に直面する中、パドックにはテレビのインタビューがキャンセルされても構わないドライバーが一人いた。
アラムコがスポンサーを務めるアストンマーティンのドライバーであるセバスチャン・ベッテルは、新型コロナウイルスの検査で陰性にならなかったと報じられ、F1第2戦サウジアラビアGPも活動休止中だ。
数日前、ベッテルはドイツの放送局『ARD』と通信社『DPA』のインタビューに応じ、政治問題への率直な意見でF1当局に難色を示したばかりだった。
スポーツマンが訪問先の国で物議を醸すような政治問題に巻き込まれるのはいかがなものか、という質問に対して、「給料をもらっているのに、どれだけ自立できる?」と彼は答えた。
「『ボイコットして、そこに行くな』と言うこともできる。一方、そこに行って、僕たち西洋の価値観を代表し、自由を示し、そのために立ち上がることもできるんだ」
「問題は、お金をもらった客として、どれだけ勇敢になれるかだ」と、4回の世界チャンピオンであるベッテルは語った。
■サウジアラビアにはハミルトンも問題視していた
今回のミサイルによる爆破以前から、サウジアラビアにおけるF1の存在はすでに大きな物議を醸しており、ルイス・ハミルトンも10代への死刑宣告や集団公開処刑といった問題について発言している。
■ベッテル、F1ビジネスについて語る
しかしベッテルはこう語った。
「F1が地図上のどこに行くかを選ぶということはないんだ。むしろ、各国がF1に近づいてきているし、会場が大金を投入するのはビジネスモデルの一部なんだ」
「その場に居合わせたときに、あえて反対意見を言えるのか?一方で、金銭的な利益よりも優先されるべき価値観もあるから、それを貫かなければならない」
34歳になるベッテルは続けた。
「サウジアラビアやバーレーンだけでなく、オリンピックも中国であった。問題は、カレンダーに載っていない国がどれだけあるかだ」
■正しい価値観とシンボルで進むようにしなければならない
「でも、実は簡単な質問なんだ。特に若い人たちにとっては、ロールモデルが重要だ。一方ではエンターテインメントであり、他方では責任もあり、正しい価値観とシンボルで進むようにしなければならない」
ベッテルは自分のこうした率直さが、F1当局の中で最も人気のないドライバーの一人になっていることを認めている。
「このような話題になると、少しパニックになる人もいる。僕の発言に影響を与えようとする人たちがいるんだ」
「僕はF1組織から見て、最も人気のあるドライバーというわけではない。でも、たとえ僕の言うことが気に入らなくても、誰も僕に言うべきこと、言ってはいけないことを言うことはできないんだ」。
■近郊の爆発事故に武装組織が犯行声明・・・
FP2開始前、FIAは全チーム代表とドライバーを招集し、何かの緊急ミーティングを行い、セッション開始が15分遅れた。
開始が遅れた理由は、サーキットから約11kmほどに位置する空港近くの石油精製所で爆発があったためF1は情報を確認していたが、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が犯行声明を出した。5日前にはアラムコの石油精製所がドローンによる攻撃を受けていた。
引き続きF1に与える影響を注視する必要があるだろう。