元F1チームオーナーのエディ・ジョーダンが、F1に参戦しているほとんどの自動車メーカーが新型コロナウイルスによる財政危機によりF1から手を引くことになると「確信している」と語った。
最近ではF1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)のジャン・トッド会長も自動車メーカーのF1撤退も十分にありえると危惧していることを認めている。
1991年から2004年までジョーダン・グランプリのオーナーとしてF1に携わった経験を持つ72歳のジョーダンはドイツの『Sport1(シュポルト1)』に次のように語った。
「コロナによって世界が大きく変わったばかりでなく、人々の価値観も変わってしまっている」
「環境に関する関心が非常に高まってきているんだ。これに関しては企業の首脳たちも考えを改めていく必要がある」
「私は、メルセデス、ホンダ、そしてあるいはルノーといったメーカーは今後2年のうちにF1から撤退するという判断に至るだろうと確信しているよ」
中でも、最もF1撤退の可能性が高いのはメルセデスだとジョーダンは考えている。
「メルセデス首脳部に打てる手はほかに何もないよ。彼らは(F1で)全てを成し遂げたし、全ての勝利を手にしてきた。こういう環境のもとでは、彼らはもう何も得るものはないからね」
「彼らは(F1)チームを多分ローレンス・ストロールに売るだろうと思う。彼は息子とともにアストンマーティンのブランドでF1チャンピオンになることを目指している。それは現在のレーシングポイントでは難しいはずだ」
ジョーダンはさらに、現在メルセデスのスポンサーを務めているペトロナスもF1からする可能性もあり、それもメルセデスがF1ワークス活動から手を引く要因のひとつになるだろうと次のように続けた。
「石油の価格は下落しつつある。だから石油会社はもはや毎年数千万ドルもの資金を投入することはできなくなる。だからペトロナスも手を引くことになるだろうね」
「それによって(メルセデスの)予算に大きな穴があくことになる」
しかし、ジョーダンは絶対に撤退しないメーカーもあると考えている。それはイタリアのフェラーリだ。
「彼らは違うよ。彼らにはF1という血が流れている。だからF1撤退が議論に上ることもない。F1撤退をちらつかせるのは単なる脅しに過ぎないんだ」
ジョーダンは、メルセデスもワークスチーム活動からは手を引くもののエンジンサプライヤーとしてのF1活動は継続し、かつてのようにマクラーレンとの関係を強めていくことになるだろうと予想している。
「将来的には、フェラーリ、レッドブル、そして恐らくマクラーレン・メルセデスがF1を支える柱になるだろう」
そう語ったジョーダンは、2021年にはセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がマクラーレンに移籍し、入れ替わりにルイス・ハミルトンがフェラーリのF1マシンを駆ることになるだろうと次のように付け加えている。
「ルイスはフェラーリに移籍するだろうね。彼の報酬をまかなえるのはイタリアのチーム(フェラーリ)だけだし、彼らもハミルトンにはそれだけの価値があることは分かっているよ」