メルセデスAMGでは、今週末バルセロナで行われるF1スペインGP(10日決勝)を皮切りにスタートするヨーロッパシリーズに向け、フェラーリとの直接対決に備えていると伝えられている。
メルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダは、昨年まではメルセデスエンジンの馬力が他社エンジンを圧倒していたものの、今年のフェラーリとの差は以前ほど大きくはないと認めている。
■今年はフェラーリとの差はほとんどないとラウダ
ラウダは、レッドブルが発行する機関誌のインタビューに次のように答えた。
「フェラーリは昨年から今年にかけて差をゼロのところにまで縮めてきたよ」
「彼らはエンジンの馬力を45馬力ほど向上してきていると思っている。だから、現時点ではメルセデスとほぼ同じエンジンパワーを持っていると見積もっているんだ。今後はクルマの性能と、ドライバーたちに何ができるかで決まってくると思うよ」
■バルセロナでスタートする本格的改良合戦
もしそのラウダのコメントが正しいとすれば、シーズン中の開発スピードがとりわけ重要になるだろう。
ドイツの『Bild(ビルト)』は、フェラーリはバルセロナに新しいウイング、フロア、そして新たなエンジンソフトウエアを持ち込んでくると書いている。マラネロにあるフェラーリのファクトリーでのシミュレーションによれば、これらの改善により1周あたりコンマ3秒から4秒短縮が可能になると見込まれているという。
一方、メルセデスAMGも改良を加えたフロア、ブレーキダクト、フロントウイングのエンドプレートなどを持ち込む予定だ。だが、エンジンの設定に関してはこれまでのものをそのまま使うことになる。
メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフも、「我々のエンジンはメルセデスとしてふさわしい信頼性がある。だからバルセロナで新しいユニットを使うことはないよ」とこれを認めている。
■勝負を決するのはこれからの開発競争
だが、フェラーリのセバスチャン・ベッテルは、バルセロナでかなり大きな改善を施した今季型車SF15-Tを投入するにせよ、それでメルセデスAMGを追い抜くのに十分かどうかは分からないと考えている。
「メルセデスAMGがまだ最強のパッケージを手にしているよ」
『Welt(ヴェルト)』にそう語ったベッテルは、フェラーリもその差を縮めようと「小さなステップ」を積み重ねる努力を続けていると付け加え、さらに次のように続けた。
「武器の開発レースによってF1タイトルのゆくえが決まるものなんだ」
「仮に、最初に最高のクルマでスタートしたとしても、最初のレースから最後のレースまで改良を続けていくことができなければ、タイトル獲得なんて無理な話さ」
ベッテルは、『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』に対しても「僕たちはメルセデスAMGをつかまえたいと思っている。それがすごく野心的な目標だとしてもね」と語っている。
■開発の手は緩めないとメルセデスAMG
ヴォルフもベッテルと同じ考えを持っている。ヴォルフは、メルセデスAMGがフェラーリより上にとどまっていたければ、改善を続けていくことが必要だと次のように語った。
「我々は、フェラーリが非常に怖い存在だと思っている。だから、できる限り早くさまざまな改良をクルマに加えていくつもりだよ」
だが、ここまでのルイス・ハミルトンの強さを見る限り、今季のタイトルもその手中に収まるのはほぼ間違いないだろうと考えている者も少なくない。
しかし、ヴォルフは、ここまでのところチームメートに後れをとっているニコ・ロズベルグも今後反撃に転じるだろうと次のように付け加えた。
「昨年も、もうダメだろうと何度か言われながら、その都度彼(ロズベルグ)は復活してみせていた。だから、私ももう彼には難しいだろうなどと言わず、非常に慎重であるほうがいいと思っているよ」