先週バーレーン・インターナショナル・サーキットで行われた公式プレシーズンテストを経て、いよいよ今週末には同じバーレーンで2023年のF1が開幕を迎えることになる。
プレシーズンテストの結果だけで2023年シーズンにおける各チームの力関係を予想することは難しいだろう。テストでは必ずしも全チーム、全ドライバーが同じ条件で走行したわけではないためだ。
だが、昨年のコンストラクターズランキングで4位となったアルピーヌや、5位となったマクラーレンがプレシーズンテストではあまり速いタイムを刻むことができなかったのは事実だ。実際のところ、チーム別の周回数でもこの2チームが一番下に位置しており、マシンセッティングなどに苦しんでいたことがうかがえる。
そして、とりわけマクラーレンが苦しい状況にあると考えているF1関係者やジャーナリストも多いようだ。
■フラストレーションを抱えるランド・ノリス
F1オーナーであるリバティ・メディアの一員として、F1中継などに携わっているウィル・バクストンによれば、マクラーレンのガレージではランド・ノリスが壁のパネルにパンチを入れるほど不満を抱えていたという。
「壁のパネルを叩いているのを見たが、それはフラストレーションによるものだったようだ」
そう語ったバクスターは次のように付け加えている。
「でも、ちょっとした遊びのつもりだったのかもしれないけれどね」
■2025年までにタイトル争いに加わるのは無理?
マクラーレンと2025年シーズンまで契約を結んでいる23歳のノリスがイライラするのも無理はないだろう。2021年にはフェラーリと互角に近い戦いができていたものの、2022年は再びトップ3チームに大きな差をつけられるとともに、逆にコンストラクターズランキングではアルピーヌにかわされて5位に落ちてしまったのだ。
イギリス出身ドライバーであるノリスは、マクラーレンがF1タイトルを狙えるようになるとしても、それはかなり先のことだろうと次のように語っている。
「僕たちの前に長い道があるのはわかっているよ。だけど、この目標を達成するために必要なものはすべて揃っているよ」
「タイトルを獲得するには僕の契約期間よりも長い時間がかかる可能性があるね。だけど、僕たちには今手にしているマシンがある。そして、僕たちにはそれをもっとよくする計画があるんだ」
■2023年型マシンは目標未達成
マクラーレン・レーシングのザク・ブラウンCEOも、「このマシンのために設定した目標を我々は達成できていない」と認め、次のように付け加えた。
「我々は、ベストな取り組み方は隠し立てせず、正直に対処することだと考えているよ」
ダニエル・リカルドに替えて今季はルーキードライバーのオスカー・ピアストリの起用を決めたマクラーレンが、どういうシーズンの滑り出しを見せるのか。3月5日(日)に決勝が行われる開幕戦バーレーンGPの見所のひとつにもなりそうだ。