ウィリアムズはテクニカル・ディレクター(技術責任者)とチーフ・エアロダイナミクス(空力責任者)不在のまま2023年F1シーズンを迎えることになる。
イギリスのグローブに拠点を置くウィリアムズは、2021年からチーム代表を務めていたヨースト・カピートを昨シーズン限りで更迭し、メルセデスで長期にわたって戦略責任者を務めていたジェームズ・ヴォウルスをその後任に据えている。
しかし、カピートと共にフォルクスワーゲンのWRCプロジェクトを成功に導いたテクニカルディレクターのフランソワ-グザヴィエ・ドゥメゾンもウィリアムズを昨シーズンいっぱいで離脱している。
■新テクニカルディレクター選任は急がない
カピートの後任としてウィリアムズの新チーム代表に就任したイギリス出身のヴォウルスは、このほどフランスの『Auto Hebdo(オト・エブド)』に次のように語り、すぐにドゥメゾンの後任を決める予定はないことを明らかにした。
「急いで決めるつもりはないよ」
「重要なのは、長期的にこの組織にふさわしい人物を見つけることなんだ」
■長期的に最も適任な人材を探すことが重要
43歳のヴォウルスは、当面は技術責任者がいない状態でもチームを運営していくことはできると次のように主張している。
「今日話しているように、強力な組織があり、テクニカルディレクターなしで運営されているよ」
「我々は製造したマシンをサーキットに持ち込んだ。そして、これを達成するためにチームは冬の間に素晴らしい仕事をした」
「明確なのは、短期的に誰かを配置するということではなく、長期的なものでなくてはならないということだ。この仕事に適した人材を確保する必要があるんだ」
■現在は空力責任者も不在
ヴォウルスはさらに、ウィリアムズで空力責任者を務めていたデイブ・ウィーターも昨年12月にチームを去ったことを認め、今後に向けて新たな空力責任者を探していることも認めている。
実際のところ、ウィリアムズの2023年型F1マシンは昨年カピートやドゥメゾンが中心となって設計・製造を進めてきていたものだ。当面は技術責任者不在でも大きな問題はないかもしれないが、2024年型マシンの設計に入る段階では、技術トップ不在が大きなハンディキャップとなる可能性もある。
かつて9回コンストラクターズチャンピオンに輝いた実績を持つ名門F1チームであるウィリアムズの復活のためには、優秀な技術責任者をできるだけ早く獲得したいというのが本当のところだろう。