ロマン・グロージャン(ロータス)の顔に、いつものほほ笑みが戻ってきたようだ。
2012年には「クラッシュ・キッド」というありがたくないニックネームを付けられたグロージャンだったが、2013年シーズンには6度表彰台に上る活躍を見せ、一躍トップドライバーの仲間入りを果たしていた。
ところが、V6ターボが導入され、新たなルールが適用された2014年シーズンには、独特の2つの先端を持つノーズが与えられたロータスのF1カーに戦闘力がなく、ドライバーランキングも前年の6位から一気に14位へと急降下してしまった。
シーズン中にグロージャンのクルマの無線から聞こえてくるのは、常にチームやクルマに対する不満と怒りの声だった。そして、いつもにこやかなことで知られていたグロージャンの表情も、絶えず険しいものとなっていた。
だが、今年は少し様子が違っているようだ。1日(日)からスペインのヘレスで行われた最初のテストで、最終日となる4日(水)に今年からメルセデスエンジンが搭載された新車E23のステアリングを握ったグロージャンは、再びF1カーを操る純粋なよろこびを感じられたと認めている。
フランスの放送局『RMC』から、2014年と2015年ではクルマがどのように変わったかと尋ねられたグロージャンは、「多くのことが変わった」と答え、次のように続けた。
「エンジンは変わったし、僕たちもまた正しい方向へ向かっているよ」
「何よりも、今のクルマは運転していてすごく面白いんだ。周回を行いながら、僕はずっと楽しんでいたよ。こういう感覚は久しぶりだった」
グロージャンは、昨年のクルマと今年のクルマの違いを、次のような表現で説明している。
「(昨年は)ラグビーボールが跳ねているみたいだったけれど、(今年は)それがバスケットボールに変わったような感じさ」
「まだクルマの能力を100パーセント引き出してはいないし、実際にグリッドでどういう位置につけそうかなんて分からない。だけど、僕に言えることは、堅実だし、運転していて楽しいってことだ。普通に考えて、それはいいスタートを切ることができたということだよ」
今年は、ほかのチームに対してロータスがどれほどの力を見せられると思うかと質問されたグロージャンは、次のように続けた。
「どうなりそうかという考えがつかめ始めているけれど、今はまだどこがライバルかなんて聞かないでよ」
「昨年は、すぐに僕たちにとっては厳しいシーズンになるだろうということが分かっていた」
そう語ったグロージャンは、次のように付け加えた。
「次のバルセロナでのテスト(19日~22日)では、もっとクルマの情報をつかむことができると思うし、メルボルン(開幕戦オーストラリアGP/3月15日決勝)での今年最初の予選で、その時点での勢力図がはっきりすると思うよ」