マクラーレンは、開幕戦オーストラリアGPで完勝し、メルセデスAMGが開発した新Fダクトを搭載しているのではないかと見られていたが、そうではないようだ。
Fダクトとは、2010年のF1で流行になった技術で、車体に作られた穴から空気を取り込み、リアウイングのすき間から放出することで、一時的にウイングの効果を弱めて最高速を向上させるシステムで、翌2011年から禁止された。メルセデスAMGの2012年型車W03が搭載するとされる今年のFダクトは、ドライバーが操作する必要がないためルールには違反していないとされるが、それに異議をとなえるチームもある。
オーストラリアGPでメルセデスAMGに対し抗議を行う構えもあったが、マクラーレンのチーム代表マーティン・ウィットマーシュはそうした動きに加わらないと述べていた。このことから、マクラーレンの2012年型車MP4-27にはすでに同様のシステムが搭載されているのではないかと見る関係者も多かった。
こうしたうわさを受けてか、F1の統括団体FIA(国際自動車連盟)もオーストラリアGP予選後に行われた車検でマクラーレンのマシンを長時間かけて調査している。特に、MP4-27のフロントウイングの高さを何度も入念にチェックしていたという。
「もし探していたのがFダクトなら、われわれのマシンにはない」とウィットマーシュは笑顔でドイツ誌『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に答えた。
今はまだなくても、今後Fダクトがマクラーレンのクルマに採用される可能性はあるかもしれない。
マクラーレンのマネジングディレクター、ジョナサン・ニールも「ルールで認められている範囲内で最大限の開発をしようと全チームが努力するだろう」と話している。
しかし同時にニールは、メルセデスAMGのFダクトがどのように機能しているのかマクラーレンはまだ「十分理解していない」ということも明らかにした。
そのため、第2戦マレーシアGP(25日決勝)では、開幕戦優勝のジェンソン・バトン(マクラーレン)とチームメートのルイス・ハミルトンはオーストラリアGPと基本的に同じマシンで走ることになりそうだ。