フランツ・トストは、少なくとも2025年までは現アルファタウリのコンサルタントとしてF1に関わり続けることになるようだ。
■2024年から大きく変わるレッドブルのセカンドチーム
世界的エナジー飲料メーカーであるレッドブルがイタリアのファエンツァに本拠を構えるミナルディを買収し、2006年に誕生したのがレッドブル・レーシングのセカンドチームであるトロロッソだった。そして、そのチームを設立当初から率いてきたのが現在67歳のトストだった。
2020年からはアルファタウリと呼ばれていたチームだが、その名称は2023年シーズンいっぱいまでとなり、2024年からは再び新たなチーム名称で戦うことになっている。
そして、すでにFIA(国際自動車連盟)の元F1エグゼクティブディレクターであったピーター・バイヤーがCEOとしてチームを率いているのに加え、今年7月までフェラーリのレーシングディレクターを務めていたローラン・メキースが2024年1月にトストに代わって新チーム代表に就任することになっている。
■もう自分の出る幕はないとトスト
トストが今シーズン限りでチーム代表の座から降りることが発表されたのは4月下旬のことだったが、トストは6月には「あと2年間、コンサルタントとして残って欲しい」というオファーを受けていることを認めていた。
しかし、先週末に行われた今季の最終戦アブダビGPでチーム代表として最後の指揮を執ったトストは、2024年シーズンに向けた準備がファエンツァで進められているころには自分は「間違いなくスキーに行く」と語り、今後は自分がチーム運営に関与することはないと示唆していた。
「CEOのピーター、そしてチームボスのローランという2人の優れた人材が彼らのやり方でチームを率いていくことになる」
母国オーストリアの『Kronen Zeitung(クローネン・ツァイトゥング)』紙にそう語ったトストは、次のように付け加えていた。
「私が彼らの横に立って『こうしろ、ああしろ』と言うのは正しいことだとは思わないよ。私は彼らに任せる方がいいと思っているんだ」
■トストの功績を賞賛するヘルムート・マルコ
しかし、レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、アブダビにおいてドイツのテレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』からトストの引退について質問された際、次のように語った。
「マルク・マテシッツ(レッドブル創設者である故ディートリッヒ・マテシッツの息子)は彼(トスト)に象徴的なモデルカーを贈った。だが、フランツは完全なマシンを受け取ることになるだろう」
「彼は柔らかい芯を持った硬い骨なんだ」
「彼が去るのは辛いよ。我々との18年間だけでなく、彼はその前からモータースポーツにおいて多くの人たちと関わっていたんだからね」
「彼のものすごいことは、我々の2人のF1チャンピオンが彼に学んでいたことだよ」
「その訓練は非常によかったし、彼らはレッドブル・レーシングですぐにタイトル争いに加わることができていた」
「それは彼の非常に大きな功績だよ」
■今後2年間はコンサルタントとして待機
トロロッソからレッドブルに昇格してF1チャンピオンとなったセバスチャン・ベッテルとマックス・フェルスタッペンに言及しながらそう語ったマルコは、トストとの関係が今後も続いていくのは間違いないことだと次のように続けた。
「彼には2024年と2025年にはコンサルタントとして待機してもらうことになる」
「だから、もしも我々、あるいはアルファタウリのメンバーが彼を必要とすれば、彼に連絡することができるんだ」
「しかし、彼はF1と対立しない限りにおいて、自由にどんな活動をすることもできる」
「18年を経て、彼はチロリアン(オーストリアのチロル地方の人)としてついに安心して大好きなスキーに専念することができるし、彼にはその資格があるよ」
マルコのコメントからすれば、今後トストは非常勤コンサルタント的な立場で、必要に応じてチームにアドバイスを行うこともあるということのようだ。