ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)は、ワールドチャンピオンとして引退する必要があるかどうかはまだわからないと語った。
●【2023年F1チャンピオンシップ・ランキング】ハミルトンは個人ランキング3位とチーム2位に貢献
7度のワールドチャンピオンに輝いたハミルトンは、アブダビで開催された2023年シーズン最終戦で、レッドブルへの移籍というセンセーショナルな噂に巻き込まれた。
■ハミルトン「僕は逃げ出したことは一度もない」
ハミルトンは、ドイツの主要紙『Bild am Sonntag(ビルト・アム・ゾンターク)』のインタビューに応じ、その真相を明らかにした。
「そのような噂は事実ではないよ。クリスチャン(ホーナー代表/レッドブルF1)とは長いこと話していない。フレッド(バスール代表/フェラーリ)とは昔からの知り合いだからパドックでよく話をするよ」
「でも、僕は13歳の時からメルセデスに在籍している。ここで続けるかどうかという疑問は一度もなかったよ」
■良いチームのクルマで勝っても何の魅力もない
8月下旬に新たな2年契約を結んだメルセデス・ドライバーは、こう続けた。
「勝てないからといって、良いマシンを持つ他のチームに行くなんて、僕にとっては何の魅力もない。長い間勝ち続けてきたクルマで勝っても、達成感はないんだ」。
「困難な状況に陥ったときに立ち去るのは簡単だ。でも、僕はそんなことはしたことがないよ」とハミルトンは主張した。
「僕は辛い時も苦しい時もいつもそこにいた。クルマが十分でなかったからという理由で去ることを考えたことは一度もないよ」。
■トレンドより努力を信じる
長い間成功を収めてきたハミルトンは、2022年に総合6位に終わったことにショックを受けた。そして2023年はランキング3位で終えている。
6位、3位となったことで、単純計算では2024年に再びチャンピオンになる可能性も考えられるがハミルトンは笑って答えた。
「本当にそうなるかどうかはわからない。僕はトレンドを信じないんだ。僕は努力を信じるよ」。
では、“グラウンドエフェクト”マシンの問題を解決するためのメルセデスの努力は、まだ実を結んでいないのだろうか?
「こう言っておこう。現在のところ、僕たちはいるべき場所にいないんだ」。
■勝ち逃げ?僕はまたトップに返り咲きたい
ハミルトンの新たな契約が終了するまでにメルセデスがタイトル獲得圏内にいない可能性もある。では、彼はまだ8度目のタイトルを獲得しない限り引退しないのだろうか?
「わからない」とハミルトンは間を置いて答えた。
「僕は結末を考えるのは好きではないんだ。いつになるかはまだわからない」
「ギャンブラーは大勝ちするとカジノに長居することが多い。頂点に立ったら去らなければならない。でも、そうするかどうかはまだ決めていないんだ」
「まずはトップに戻りたい。でも、それには時間がかかるかもしれない」
■僕は問題を解決するのが好き
レッドブルやフェラーリとの交渉の噂は、ハミルトンがメルセデスで2シーズンにわたり1勝もしていないことから生じただけだという見方もある。
「人生は勝つことだけが目的ではない。本当に恋しいとも思わないんだ」
「今シーズンはおそらく4番手くらいのマシンでスタートした。フェラーリより前でフィニッシュすることは、チームとしての勝利でもあるんだ」(※決勝レース前のコメント)
「ポールポジションや勝利のためにレースをするのではないことがシーズン初めにはっきりすると、視点が変わる。僕は問題を解決するのが好きなんだ」
「残念ながら、このスポーツでは少し時間がかかるんだよ」とハミルトンはまた笑った。
■オフはレースのことは考えない
冬の間は、メルセデスを勝利への軌道に乗せるのに十分な長さなのかと尋ねられると、彼はこう答えた。
「まだ考えていないし、考えないようにしているよ」
「レースのことはできるだけ長く考えたくないんだ。今年の現時点ではそういう状況だね。2月になれば、また心配事やストレスが始まるだろうからね」。