ハースのニコ・ヒュルケンベルグは、今週末に行われる2023年F1第22戦ラスベガスGP(現地18日決勝)ではBスペックマシンを使用しないことに決めたようだ。
●【2023F1第22戦ラスベガスGP】開催スケジュール・全セッションの結果
■改良マシンの不調でランキング最下位に後退したハース
現在唯一のアメリカンF1チームであるハースは、テキサス州オースティンで開催された第19戦アメリカGPに2023年型F1マシンを大幅に改良したBスペックマシンを投入。当時コンストラクターズランキング9番手に沈んでいたハースとしては、その改良マシンで状況を大きく改善しようと考えていた。
ところが、そのBスペックマシンは期待されたようなパフォーマンスを見せることはできず、結局、アメリカGPばかりか第20戦メキシコGPと第21戦サンパウロGPでもポイントに手が届かなかった。
その一方で、ハースとは対照的にパフォーマンスを向上させたアルファタウリが、アメリカ、メキシコ、ブラジルへと続いた3連戦全てでポイントを獲得してランキング最下位から8番手に浮上。その結果、現時点ではハースがランキング最下位に沈んでしまっている。
■Bスペックは失敗だったとヒュルケンベルグ
今年ハースで4年ぶりにフルタイムドライバーとして復帰したドイツ出身のヒュルケンベルグは、このBスペックマシンについてブラジルで次のように語っていた。
「明確な前進ではないよ。僕たちも今はそれが理解できているし、わかっている」
■全ては来シーズンのためだとマグヌッセン
一方、チームメートのケビン・マグヌッセンは、Bスペックマシンで改善されたと感じられるのは「わずかだ」としつつも、以前のスペックよりはいいと考えているようだ。
「マシンだけでは何も問題は解決しないんだ」
そう語ったデンマーク出身ドライバーは次のように続けた。
「だけど、少なくとも大切なことだよ」
「来シーズンがどうなるかだね。なぜなら、そこで僕たちは本当に進歩したいと思っているんだ。そこで僕たちが正しい方向に大きく前進できることを願っているよ」
ヒュルケンベルグとは違い、マグヌッセンは少なくとも今週末のラスベガスGPにはBスペックマシンで臨むことになるようだ。
■もう失うものはないとシュタイナー
ハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーは、ラスベガスGPの舞台となるラスベガス・ストリップ・サーキットではヒュルケンベルグが旧仕様の2023年型マシンを使い、マグヌッセンがBスペックマシンを使うことを認めている。
「そうすることにした主な理由は、ニコは旧仕様の方が自分に合っていると感じていて、ケビンは逆だからだ」
「我々は彼らが望むものを与えることにした。残り2レースだし、我々には失うものは何もない。だから、できることをすることにしたんだ」
■アストンマーティンと同じアプローチはとらない
アストンマーティンも最近、マシンのアップグレードでトラブルに見舞われてしまったことから、その問題の真相を究明するために定期的にピットレーンからレースをスタートして実験的なセットアップを行うことでデータの収集に努めている。
しかし、ハースはそれと同じようなアプローチはとらないという。
「データ収集について議論することはできるだろう。だが、我々は十分なデータを持っている。それは、何よりもそれぞれのドライバーが何を好むかをベースにして決めることだ」
そう主張したシュタイナーは、次のように付け加えた。
「そうすれば彼らを快適な状況に置くことになるし、彼らも与えられたマシンに満足できるだろう」
■ラスベガスは気温と路面の荒さとの戦いに
ハースの2023年型マシンにはタイヤの摩耗が激しいという欠点があり、Bスペックマシンもそれを克服することはできなかったと伝えられている。
ナイトレースとして行われるラスベガスGPでは路面温度がかなり低くなると予想されており、ハースもその問題に苦しめられる可能性もありそうだ。
そのことについて質問されたシュタイナーは、次のように答えている。
「それはアスファルトにもかなり左右されるんだ。気温とアスファルトの粗さが組み合わさってくる。だが、我々のデグラデーション(タイヤの性能低下)がブラジルより悪くなるとは思わないよ」