レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーが「2024年のF1タイトル争いは今年よりもかなり厳しいものになるだろう」と語る一方で、イタリアのスポーツ紙は来年のレッドブルは「さらに強さを増す可能性がある」と主張している。
■2022年から圧倒的強さを誇っているレッドブル
それまでとは大きく異なる技術レギュレーションが導入され、F1マシンのシャシー自体がダウンフォースを生み出す“グラウンドエフェクト効果”を持つものに変わった2022年以降、レッドブルがライバルチームたちを寄せ付けない強さを見せている。
すでに3年連続でのドライバーズタイトル獲得を決めているマックス・フェルスタッペンは、昨年は22戦中15戦で勝利、そして2023年もここまでの20戦のうち17戦で勝利を収めている。
2021年にバジェットキャップ(チーム予算上限)違反があったと判定されたことから今年のレッドブルは風洞時間が大幅に削減されるというペナルティーを受けているにもかかわらず、フェルスタッペンの乗るレッドブルF1マシンがライバルたちにほとんど付け入る隙を与えていないのが現実だ。
■2024年はもっと接戦になるだろうとクリスチャン・ホーナー
だが、ホーナーは、ライバルチームたちがレッドブルを追い詰め始めているのは明らかだとしている。
「レギュレーションの安定性を考慮すると、来年もこの傾向は続くと私は思うし、もっと激しい選手権になるだろうね」
『Bloomberg(ブルームバーグ)』に今週そう語ったホーナーは、次のように続けている。
「2026年にルールが再び新しくなる前の2025年についても同じことが言えるだろう」
「だから、我々は常に改善を試みているよ。なぜなら、ライバルたちは我々のマシンの哲学の一部をコピーしてくるだろうし、それは間違いないからね」
「すでにそうなり始めているのはわかっている。RB20(2024年型マシン)をRB19(2023年型マシン)より大幅によくするのは難しいだろう」
■レッドブルの2024年型F1マシンは根本的に違うものに?
しかし、その一方で、イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』のパオロ・フィリセッティ記者は、レッドブルでは現在2024年型マシンに「抜本的な改良」を加えるための準備をしていると主張している。
フィリセッティ記者は、レッドブルの2024年型F1マシンには2023年型との“類似性”がかなり見られるのは確かだろうとしたものの、次のように続けている。
「しかし、現在のものとは異なる空力コンセプトに進むことになるだろう。垂直荷重が現在とは根本的に異なる方法で発生して分散されることになるようだ」
「ヴェンチュリ・チャンネル(空気の流れを絞り込むパーツ)の容積や形状が非常に異なるため、フロアの機能も異なるものになるだろう」
■目的は2023年型マシンの弱点対策?
フィリセッティ記者によれば、レッドブルの2024年型マシンは今年のマシンの弱点を取り去ったものになるだろうという。
「エイドリアン・ニューウェイ(チーフテクニカルオフィサー)、ピエール・ヴァッシェ(テクニカルディレクター)、そして空力技術者たちは、RB19のいくつかの領域がわずかな進歩にとどまっていることを発見した。それは、ライバルとは大きなギャップがあったために必要ではなかったからだ」
「RB19の弱点を解決するために、それらの変更をすべて新たなプロジェクト(2024年型マシン開発)に統合することが決定されている」
そう主張したフィリセッティ記者は次のように付け加えている。
「つまり、ライバルたちがフェルスタッペンの現在のマシンを追いかけるのに苦しんでいる間に、レッドブルは最高レベルの対策を導入する準備ができているようだ。再び支配するためにね」