ドイツ国内に、消滅したF1ドイツGPを復活させようという新たな動きが出てきているようだ。
■衰退が続くドイツのF1事情
ドイツ出身の伝説的F1ドライバーであるミハエル・シューマッハが大活躍していた当時は、ドイツがF1にとっての主要マーケットのひとつとなっていた。だが、F1ドイツGPは2019年にホッケンハイムで開催されたのを最後に、その後はF1カレンダーから姿を消している。
新型コロナウイルスのパンデミックによりF1カレンダーに大幅な修正が必要となった2020年にはニュルブルクリンクで急遽F1が開催されたものの、そのレースの名称はアイフェルGPとされていた。
また、ドライバーに関しても、かつては複数のドイツ人ドライバーが活躍していたシーズンも多かったが、2023年はハースのニコ・ヒュルケンベルグが唯一の現役ドイツ人F1ドライバーとなっている。
■当分ドイツでのF1開催はないだろうとベッテル
2022年シーズンを最後に引退した4度F1チャンピオンとなった実績を持つセバスチャン・ベッテルは今週、こうした状況に関して母国ドイツの『SID通信』に次のように語った。
「長い間、ドイツでグランプリが開催されることはないと思う」
「それは残念だと思うけれど、その理由はわかっているよ。ドイツの自動車産業からの明白なプレッシャーがなくなってしまっているからね。だけど、成功し過ぎたことで、飽き飽きしていることもあるかもしれないね」
「ひとつ確かなことがある。モータースポーツはあまりにも金がかかるようになり、それゆえに排他的になり過ぎているんだ」
■F1復活を目指す政治的動きも
しかし、こうした中、ドイツをF1カレンダーに復帰させようとする政治的な動きが出てきている。
『Bild(ビルト)』紙によると、FDP(Freie Demokratische Partei/自由民主党)の議員連盟が、モータースポーツの若い人材を強化するとともに、ドイツGPを復活させることを目的とした政策方針書をドイツ連邦議会において発表したという。
「政策方針書の目的は、感謝の意を示し、議論のきっかけを作ることだ」
FDPのスポーツ担当スポークスマンであるフィリップ・ハーテヴィッヒはそう語ると、次のように付け加えている。
「我々はドイツにレースが戻ってくることを支持するつもりだ」。