ハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーが、2024年に向けて現在のニコ・ヒュルケンベルグとケビン・マグヌッセンというドライバーラインアップに手を加える必要はないと主張した。
■2024年も今季と同じラインアップで戦うハース
2021年をミック・シューマッハとニキータ・マゼピンという2人のルーキードライバーで戦ったハースだが、2022年はシーズン開幕前に起こったロシアのウクライナ侵攻に伴い、マゼピンに代えて2020年まで所属していたマグヌッセンを呼び戻していた。
そして、2年目のF1シーズンを迎えていたシューマッハのパフォーマンスに不満を抱えたシュタイナーは、2023年にはシューマッハに代えて経験豊かなヒュルケンベルグの起用を決断。
そして、伝えられるところによれば、ハースはすでにヒュルケンベルグとマグヌッセンと2024年の契約も結んでいるという。
■現在のドライバーには不安はないとシュタイナー
「我々の財政とマシンの魅力を考えれば、我々は現時点で手に入れられる最高のドライバーたちを擁していると思う」
今季のF1第14戦オランダGP(27日決勝)の舞台であるザントフォールト・サーキットでそう語ったシュタイナーは、次のように付け加えた。
「だから、(ほかのドライバーとは)誰とも話をしたことはないよ」
シュタイナーは、何人かのドライバーが来年ハースでレースをすることに興味を示しているのは事実だと認めている。だが、現時点におけるハースの優先事項はマシンのパフォーマンスに関わる問題を解決することだと主張している。
「(ドライバー変更の)チャンスに目を向けたとしても、リスクのないチャンスはあまりないだろう。そして、私は現時点ではリスクを取りたいとは思っていないんだ。今の我々は安定を望んでいるからね」
「我々は今、ドライバーたちとともにチームの一部分をコントロールしている。今後はマシンに取り組む必要があるとともに、その部分に関しても修正しなければならないんだ」
「1年前はドライバーが心配の種だった。今年はそうではないし、来年も心配する必要はないよ」
■ヒュルケンベルグに差をつけられているマグヌッセン
一方、4年ぶりにフルタイムドライバーとしてハースでF1復帰した36歳のヒュルケンベルグだが、ここまでのところ、とりわけ予選においては、デンマーク出身ドライバーである30歳のマグヌッセンを圧倒する結果を残している。
スイス出身の元F1ドライバーであり、現在は評論家として活躍いるマルク・スレールは最近、ドイツ出身のヒュルケンベルグが今年ハースでF1復帰を果たしたことで、このチームで通算6年目のシーズンを迎えているマグヌッセンのキャリアを危うくしていると語っている。
そして、こうした状況にもかかわらず、ハースが2024年もマグヌッセンを起用する方針を変えなかったのは驚きだとしているメディアもある。
■マグヌッセンの苦戦理由は理解できている
しかし、58歳のシュタイナーは、このことについて次のように語っている。
「ケビンについては、我々は今、なぜ彼がこれほど苦戦しているのかを理解しているよ」
「このマシンはドライビングが非常に難しく、彼はニコよりも少しばかり問題を抱えているんだ」
「それが、マシンの修復を決めたもうひとつの理由なんだ。大きな変更は全く計画されていなかったが、ケビンが安心してうまく取り組んでいけるようにしたいと思っている。だから、彼は常に契約のことを考える必要などなかったんだ」
そう語ったシュタイナーは、マグヌッセンに代わるドライバー候補がいなかったのも事実だと示唆し、次のように付け加えている。
「どういう代替案があったのかにも目を向けてみるべきだよ。最終的には、何も変える理由はなかったんだ」