F1公式タイヤサプライヤーであるピレリは、今週末にシルバーストン・サーキットで行われる2023年F1第11戦イギリスGP(9日決勝)に、スペックを変更した新たなタイヤを投入することになっている。
■今回のスペック変更の目的は?
その新スペックタイヤは、バルセロナ・カタルーニャ・サーキットで行われた第8戦スペインGPのフリー走行においてすでに各チームがテストを行っていたものだ。
ピレリによれば、今回のスペック変更は、2023年型F1マシンが当初予想していた以上のダウンフォースレベルを実現していることに対応するためのものだという。
■これまでのタイヤより1.1キログラム重いとラッセル
しかし、メルセデスのジョージ・ラッセルは、今回実際にシルバーストンに持ち込まれたタイヤは、バルセロナでのテストで使用されたものよりさらに重くなっていると主張している。
「バルセロナではすでに800グラム重くなっていたんだ」
F1ドライバーによる任意団体であるGPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)の理事を務めていることでも知られる25歳のラッセルはそう語ると、次のように付け加えた。
「そして、ここで使われるタイヤは、先週のオーストリアで使ったものよりもさらに1.1キログラム重くなっているよ」
■実際の増加は500グラム以下だとピレリ
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』紙によれば、ピレリはこのラッセルの主張を否定しており、新スペックタイヤの重量増は実際には500グラム以下だと主張しているようだ。
非常のところ、タイヤの性能をうまく引き出すことと長持ちさせることを両立させるためには、非常に微妙なセッティングが必要となるF1だけに、1本あたり500グラムの増加だとしてもセッティング作業に与える影響はそれほど小さくはないはずだ。
実際のところ、単に重量が増えただけではなく、構造が強化されたことによるたわみ量の変化など、チームとして理解しなくてはならないものは多い。バルセロナでテストした際のデータはあるだろうが、それがどこまでシルバーストンで役に立つのかはわからない。
とりわけ、タイヤのデグラデーション(性能低下)に悩まされているチームにとっては、そのタイヤをどう扱えばいいのかが非常に気になるところだろう。
ともあれ、その新スペックタイヤが現在のF1チームの力関係に影響を及ぼすことになるのかどうか、それは実際にレースが行われてみないとわからないというのが本当のところだろう。
■新タイヤが味方になるかどうかはわからないとルクレール
「僕は、新しいタイヤがデグラデーションにどれほどの違いをもたらすかを評価して理解することが重要だと思っている」
イギリスGPを迎えるにあたってそう語ったフェラーリのシャルル・ルクレールは、次のように付け加えた。
「それがメリットになるのかならないのか、それはわからないよ」