今月1日(土)にスパ・フランコルシャン・サーキットで行われたF3レースにおいて、オランダ人ドライバーのディラーノ・ファント・ホフ(18)が命を落としてしまった。雨が降る中で行われたこのレースでは、走行するマシンが巻き上げる水煙によって視界がほとんどない状況となり、そこで重大なクラッシュが発生してしまっていた。
■来週シルバーストンで「マッドガード」をテスト
F1は、このような視界不良による事故発生を防ぐため、新しく考案された雨天用マッドガードをテストすることを決めている。マッドガードはその名が示す通り、本来“泥よけ”を目的に考案されたものだが、これによりフォーミュラカーが巻き上げる水しぶきを一定程度抑えることができると想定されているようだ。
今週末には今季のF1第11戦イギリスGP(9日決勝)がシルバーストン・サーキットで開催されるが、このマッドガードのテストは来週同じサーキットで行われるピレリのタイヤテストの一環として行われることになったようだ。伝えられるところによれば、マクラーレンとメルセデスがテストを担当することになるという。
■F1ドライバーたちの意見は?
シルバーストンで6日(木)に行われたドライバー記者会見においてこの問題について質問されたレッドブルのセルジオ・ペレスは次のように答えている。
「もしそれがうまく機能するなら、僕はぜひ投入して欲しいと思うだろうね」
「それによってもっと危険なコンディションでのレースが可能になるかもしれない。特に先週末に起こったことを考えればね」
また、アストンマーティンのランス・ストロールも、マッドガードのような解決策を「できるだけ早く」導入すべきだと主張し、次のように付け加えた。
「そして、それがうまく機能しないなら、僕たちは視界がないコンディションでレースをするような状況に自分たちの身を置くべきではないよ」
マクラーレンのランド・ノリスも次のように語っている。
「もう何かをやるべき時にきていると思うよ。ドライバーの立場から言えば、僕たちはもう何年も前から何か手を打つ必要があると言ってきていたと思うよ」
一方、ペレスは、マッドガードがダウンフォースの面では「かなり不利になる」可能性があるとの懸念も示している。
■マッドガードの使用は降雨状況で判断するとFIA
こうした中、FIA(F1統括団体の国際自動車連盟)のシングルシータ-ディレクターを務めるニコラス・トンバジスは、降雨量が極端に多い場合にのみこの解決策を導入する考えであることを認めている。
「我々は、それは年に2、3回しか使わないものだと考えている」
かつてはフェラーリのF1マシン設計責任者を務めていたことで知られるギリシャ出身のトンバジスは、スペインの『Marca(マルカ)』にそう語ると、次のように付け加えている。
「雨粒が落ち始めるたびに毎回、突然これらを装着しなければならないといったようなことにはしたくないと思っているよ」